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ダークナイト ライジング [アメリカンコミック]

★満足度75点

ダークナイト ライジング Blu-ray & DVDセット(初回限定生産)

ダークナイト ライジング Blu-ray & DVDセット(初回限定生産)

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • メディア: Blu-ray


ノーラン監督の築いた「ビジュアルは限りなくNY」なのだけど、明らかにNYとは感じられない決定的な暗さを持つ「ゴッサムシティ」。
地面に異空間ががっぽりと口をあけているような、ひどく不均衡な世界を、現実の都市からかけ離れることなく創造できるのは毎回凄いと思う。
超社会派でありながら、ダークファンタジーとしか呼べない世界。
この虚無感満載の世界はノーラン監督にしか為し得ないのではないか。

今回は、愛する人を亡くした悲しみをひきずり隠遁生活7年目にして満身創痍のバットマンことブルースと、一作目の敵ダース・アル・グールの「影の軍団」の継承者と名乗るベインとの戦いだが、ベインの目的が大義名分過ぎてイマイチしっくりこない。

ジョーカーのように人間の愚かさをあぶり出したいがために生きている人間に比べ、ベインの目的はゴッサムシティの文字どおりの壊滅。
それにしては「解放」「人民に街を返す」などと安っぽい大儀を掲げて街を無法地帯に陥らせるなど、なぜかまどろっこしい方法をとる。特にその光景をみて楽しんでいる様子もない。

そんなのどに刺さった小骨が取れないまま、バットマン圧倒的不利な状況で物語は進み、最後にベインの真の存在理由が判明してやっとすっきりする。
それはとても古典的でありきたりなのだけど好ましく、ベインが急に血の通った人間として目に映り、数々の挙動を振り返るとせつないものがあった。
しかし今回の主犯は所詮はダース・アル・グールの遺産。
前作のジョーカーに及ぶべくもなかった。

それよりも、無法地帯になったら自分が生きにくくなるだけなのに、すぐに扇動されてしまう民衆の愚かさが際だつ。ほぼベインが解放した犯罪者たちなのだろうが、それにしても公開処刑とおぼしき川渡りや、裁判という名のつるし上げの場に、一般人が皆無だったとは言い難い。警官隊と民衆の激突は愚の骨頂。内戦が泥沼化する独裁国家の入り口をみた気がした。

今回はキャットウーマンとあの相棒が登場。
このシリーズのいいところは、わざわざ「私はキャットウーマンよ」などと名乗らないことであり、彼女はただ貧民街出身の凄腕の泥棒として登場する。
もちろん二人とも、バットマンファンなら誰しもわかるだろうという前提で登場するので、説明されなくてもわかる。
相棒登場により、完結編とはいえ次回作もあるのでは…と大いに期待してしまうが、彼は二代目として生きていくことを暗示したラストだったのかもしれない。

完結してしまうことが残念だが、とはいえ果たしてこれ以上の絶望が用意できるのかも疑問。みているこちらも疲弊してしまうぐらい、濃厚なシリーズだった。

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