ミスター・ガラス [サイコスリラー・クライム・サスペンス・社会派]
満足度★85点
■これは予想をはるかに超えた良作。カテゴライズされたジャンルに惑わされるな
自分の能力を否定された者の苦しみ。
自分の信じる者を否定された者の悲しみ。
まさかのまさか、最後はどこかにいる“虐げられた者たち”の(精神的な)解放を予期させる胸熱な展開で、感動すら覚えた。
「アンブレイカブル」が、このような結末で帰結するとは思わなかった。とにかくおもしろい。随所に何かが起きる予感を張り巡らせたカメラアングルもよく、最後まで緊張の糸がとぎれず、二転三転、どう結末を迎えるのか予想できなかった。
能力あるものは、その驚異を誰かに異常と定義され、平均であれと抑圧され、社会の隙間に落ち込む。平凡な権力者たちは制御しやすい社会を構築しようとする。
そんな現実を物語に投影しつつ、アメコミが人間の妄想ではなく、人間の可能性を示しているという解釈が素敵。そこには善vs悪という単純構造ではなく、人間の可能性そのものを否定する存在との闘いがあった。
アンブレイカブル当初からこの構想があったのか? あったとしてもなかったとしても、ここまでまとめあげて全く予想だにしないメッセージをぶちこんでくるとは!
これは近年最高にお気に入りの映画の一つとなった。ジェームス・マカヴォイの演技も必見!
アンブレイカブル [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]
- 出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
- 発売日: 2021/07/16
- メディア: Blu-ray
「開拓者たち」@東京国際映画祭 [★映画祭・イベント]
東京国際映画祭で、『開拓者たち』を観賞。
20世紀初頭のパタゴニア地方を舞台に、先住民を殺害することを目的として旅する白人のグループの行動を、白人と先住民の間に生まれた若者の目を通して描く。チリの歴史の中で埋もれていた事件に光を当てた作品。
西部劇の手法を取りながらチリで行われた白人による先住民迫害の歴史を描く。
▼上映後に監督のインタビュー
・西部劇ほどプロバカンダに染められたジャンルはないから、その手法を取った。かつての西部劇は白人が善でインディアンが悪の勧善懲悪だった。そこには歴史の改竄があった。
・主要登場人物は実在で、ネイティブがネイティブ殺しに荷担した側面も描きたかった。その辺は映画的に誇張した部分もあり、そのため自分も歴史を改竄しているといえる。皆さんには国が伝えることの何が正しいのか、真実や歴史は一体何なのかを考えてもらいたい。
・占領した白人の地主の名前も、島や川などに付けられたまま。チリ政府が闇に葬りたがっている先住民大虐殺を描いているため、チリで春に公開されて、賛否両論になることを望んでいる。
・考えさせることを強要するように作ったから。
などなど、胸の内を訥々とかたってくれました。 シンプルながらも、白人による先住民殺し、白人とネイティブの混血の青年の葛藤、イングランド人とスコットランド人のアイデンティティの根深さなどちりばめられた、非常に濃厚な内容でした。
▼上映後に監督のインタビュー
・西部劇ほどプロバカンダに染められたジャンルはないから、その手法を取った。かつての西部劇は白人が善でインディアンが悪の勧善懲悪だった。そこには歴史の改竄があった。
・主要登場人物は実在で、ネイティブがネイティブ殺しに荷担した側面も描きたかった。その辺は映画的に誇張した部分もあり、そのため自分も歴史を改竄しているといえる。皆さんには国が伝えることの何が正しいのか、真実や歴史は一体何なのかを考えてもらいたい。
・占領した白人の地主の名前も、島や川などに付けられたまま。チリ政府が闇に葬りたがっている先住民大虐殺を描いているため、チリで春に公開されて、賛否両論になることを望んでいる。
・考えさせることを強要するように作ったから。
などなど、胸の内を訥々とかたってくれました。 シンプルながらも、白人による先住民殺し、白人とネイティブの混血の青年の葛藤、イングランド人とスコットランド人のアイデンティティの根深さなどちりばめられた、非常に濃厚な内容でした。