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フリー・ガイ [ファンタジー]

満足度★85点

フリー・ガイ [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]

フリー・ガイ [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
  • 発売日: 2022/04/13
  • メディア: Blu-ray
■命令だけに従う人生でいいのか?

AIを通じて、日々同じことの繰り返しに飽いた人々に、人生楽しもうぜ!とエールを送る良作。

独自に開発したゲームを、半ばだまし取られた開発者の2人。
しかし二人の開発した「成長する」AIがモブキャラのガイに投影されていたことで、完璧かにみえたゲームの世界が徐々に変化していく。

ゲームのモブキャラ視点では、ゲームプレイヤーは何でもできるヒーローのようなような存在。
プレイヤーはサングラスをかけてプレーをするため、ガイは突如空から現れるプレイヤーを「サングラス族」と呼んでいる。この設定の妙で、観客はするりとフリー・シティに入り込むことができる。

同じ行動を設定どおりに動くしかないモブたちは、自分の行動に疑問を抱かない。
しかしガイは成長するプログラムなので、そこに違和感を覚え始める。

これはプログラミングした人間側からしたら「バグ」のように見えるだろうし、ガイが周りのモブに影響を与えていく点は「ウイルス感染」みたいなものだろう。

プログラムの生みの親が、自分の設定したキャラに愛を告げられ心が揺らぐシーンは、なんともいえないおかしみがあった。
しかし人間同士も相手を完全に理解できないという点では、自分の幻想や虚像を相手に投影しているのだろう。
その点をうまくついた作品だとも思う。

ゲーム世界が現実化したら?というギミック的な面白さもあり、AIが人間の敵に回らないので安心してみることができ、なおかつ笑いとユーモアにあふれた作品。
そしてガイを通じて、人生の主役は君だよ、と変化を恐れる人たちを勇気づけてくれます。

ゲームをだまし取った経営者アントワンを「ジョジョ・ラビット」のタイカ・ワイティティが悪乗りで演じる。

ちなみに東京の渋谷の街にフェルサブルータの垂れ幕があったが、2017年にこの興行を当時見に行ったので、懐かしく思った。


2021-12-26T15:10:00.jpg



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ファンタジー・アイランド [ファンタジー]

満足度★65点

ファンタジー・アイランド

ファンタジー・アイランド

  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2020/09/02
  • メディア: Prime Video
■ファンタジー・ホラーだけど後味爽やか
願いを叶える不思議な島…これってドラマ「LOST」…?
ラスト、島を見守るため二人が残るところまで似ている。

というかこの映画は往年ドラマのリブートとのことなので、もしかしたらLOSTの方が原作ドラマの設定借りているのかもしれない。

〈以下ネタバレ〉


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ダークタワー [ファンタジー]

満足度★60点

ダークタワー (オリジナルカード付き) [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]

ダークタワー (オリジナルカード付き) [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • メディア: Blu-ray
■マシュー・マコノヒーはさすがの存在感

原作は未読だが、世界観を描き切れていないのではないか?

怪しげな男たちに監視された子どもたち、ジェイクの見る悪夢、悪夢の存在が実際に現れる恐怖。
掴みはいいのだが、面白くなりそうでいて、いまいち盛り上がりに欠けた。
全体的に感情のトーンが暗いのもあるが、ガンスリンガーと敵のウォルターとの因縁がよく見えてこないのだ。ガンスリンガーがどのようにタワーを守ってきたかも不明。また、導入はジェイク少年の視点だったのに、途中からガンスリン

ガーの視点に移行してしまったため、主役の比重がどっちつかずの印象(ポスターでは完全にジェイク少年は外されているので、本来はガンスリンガーがメインなのだろう)。

マシュー・マコノヒーのサイコパス風演技は良かった。胸を打ち砕かれたとき。
ジェイクの母親に「恥を知れ」と呪いをかける場面。
根源的な原因は分からないが、世界をひたすら忌み嫌ってる様子が伝わってきた。
ガンスリンガーがアーサー王の末裔だとか銃がエクスカリバーだとか、根元世界の伝説が中間世界で息づいていて面白みはやや増したが、やはり一族の過去が語られないため、戦いの年月への深みが感じられない。
などなど、いろいろと不明点が多すぎるので、制作陣にまとめきれる手腕が足りなかったということだろう。

やはり幾度も頓挫してきた難しい企画であったということ。
二丁拳銃のアクションはかっこよかった。

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神様メール [ファンタジー]

満足度★70点

神様メール [DVD]

神様メール [DVD]

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店
  • メディア: DVD








■兄貴よ、お前はなにもせんのか

聖書にも出てこない神の娘、架空の妹エアちゃん。古いパソコンを駆使し世界を操る神は、手は挙げないもののドメスティックバイオレンス気味で高圧的。そんな父から隠れるようにミニチュア人形のふりをする息子(キリスト)、苛められる母(女神)。
そんな神の姿は、私から見ればイメージ通り。旧約聖書の神は平気で人ごと街を焼き尽くすし(ソドムとゴモラ)、授かった息子を生け贄にしろと言うし(イサクの犠牲)、生物滅亡計画はおこすし(大洪水)、理不尽でキレやすい。

エアちゃんが送ってしまった余命宣告メールで混乱する地上で、新たな弟子を選ぶ旅に出るエアちゃん。弟子といいつつ人類に貢献するわけではなく、むしろエアちゃんが彼らを小さな幸せに導いていくだけで、神と娘の話の割にはだいぶこじんまりとした展開ではありました。

ただ、登場人物が聖書の教えに出てくるタブー(獣姦、離婚、性倒錯)をことごとく破っていくさまは、聖書ならびに古い固定概念に縛られず、心のままに生きることが本人にとっても周囲にとっても幸せなのだというメッセージなのかもしれない。

ついでにいえば「神」は神と言いつつ、本物の神に選ばれたただの人間なのかも? 神の部屋がコインランドリーにつながっていたり、最後の晩餐の絵画に人が増えていったりという小細工も楽しいですが、寿命があるうちは何をやっても死なないことを証明するために無謀なことばかりしでかす男に一番笑いました。
だけど、女神によって寿命がリセットされたのに気がつかずに死んでしまったのが皮肉。

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マザー! [ファンタジー]

満足度★50点

マザー! [Blu-ray]

マザー! [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: パラマウント
  • メディア: Blu-ray
■聖書の隠喩に満ちた寓話

予備知識がないまま観賞。 冒頭からいっさい名前のない登場人物たちに、一筋縄ではいかない展開を予想していたが、旧約聖書の天地創造の話がベースになっているとは思いもよりませんでした。

細かいところで何を隠喩しているかは全て解きほぐせませんが、ベースの話はほぼ間違いないと思います。
ハビエル・バルデル演じる夫は神、ジェニファー・ローレンスは大地神もしくはマリア、そして楽園・大地または地球そのもの。
創造に苦悶する神は『創世記』をなぞらえ、最後に生み出した生命は自分(神)に似せた人間(アダムとリリス)。
エド・ハリスはアダム、ミシェル・ファイファーはリリスもしくはイブ。ミシェルはイブというより、人間最初の女でアダムの最初の妻、性に自由奔放なリリスに近いと思いました(しかしアダムは劇中「再婚した」と言っていたので、二番目の妻イブかもしれません)。

アダムとリリスは楽園にいる神に会いに来る。調和の取れた楽園から追い出したい女神。しかし土から自分で生み出した人間を、神が追い返す道理はないわけで、対等に対話できることに興奮すら覚えている。
しかし女神の感じた不安は的中し、のちに息子たち(カインとアベル)がやってきて、人類最初の殺人は行われてしまう。 楽園(家)を穢され二人を追い出したのもつかの間、神はそんな欠点を持つ存在も、それを作った自分のせいだとばかりに受け入れてしまう。
ノアに「産めよ増えよ」といった神の言葉そのままに、人間の数は激増、彼らは神を求めて押し寄せる。

ここからは確信のない想像なのだが、生命の土台と調和を美しいものにしようとする女神の前に何度も現れる不気味なシミや地下の炎は地獄の業火か、次々に行われる人間の罪を表し、後半カオス状態になる家の様子は加速する人間の強欲さ、性欲に溺れ戦争を始め、大地を汚染する人間の罪そのもののメタファーだと思いました。

ちなみに神に徴(しるし)をつけてもらう人間の姿は善き人間を選り分ける黙示録の場面のようだし、人間が奪い合っている小説の原版は「神の言葉」=モーセの十戒の原板を意味している気がしました。
そして最後に産み落とされるのは勿論、イエス・キリストですよね。神はいわば、人間に殺されるとわかっていながら息子を差し出すのです。

女神をリンチする人間の姿は難解ですが、神と私だけいればいいという女神の態度は「人間など不要」と言っているのと同義なので、憎まれたのかもしれません。いつか地球が滅びて無くなっても(ジェニファー=女神の自殺)、また懲りずに神は天地を創造するのです。
映画【ノア 約束の舟】で見られるように、聖書の物語を、閉ざされた空間での人間同士の緊迫したサスペンスに転化する辺りは監督の手腕でしょうが、ではかといって面白かったかと聞かれると「聖書」と気がついてしまうと面白くは無い。 【エデンの東】などのように聖書の話を下敷きにしつつ、人間ドラマに昇華しているならまた別でしょう。

ノア 約束の舟 [DVD]

ノア 約束の舟 [DVD]

  • 出版社/メーカー: パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
  • メディア: DVD
エデンの東 [Blu-ray]

エデンの東 [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • メディア: Blu-ray

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BFG ビッグ・フレンドリー・ジャイアント [ファンタジー]

満足度★60点

BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント ブルーレイ(デジタルコピー付き) [Blu-ray]

BFG:ビッグ・フレンドリー・ジャイアント ブルーレイ(デジタルコピー付き) [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
  • メディア: Blu-ray
■世界のどこかにBFGがいる

両親のいないソフィー。

ずっとビクビクしながら生きてきたBFG。
「昔の巨人たちは優しかった」とBFGがマルノミたちをたしなめていたので、もしかしたら心優しき他のBFGたちは、マルノミたちに殺されたり追放されたりしてしまったのかな…などと深読みもしてしまう。

はっきり言って起きる出来事は大したことはない。人間に夢を吹き込む仕事をしているBFGがたまたまソフィーに見られてしまい、他の人間に知られることを恐れて拉致してしまう。
後はマルノミら人間を食べることが大好きな巨人たちからの、ソフィーの隠れんぼをスリリングに描くのみで、一つ一つの場面も少し冗長に感じる。

他のファンタジーとちょっと違うなと思ったのは、巨人退治のお願いに、バッキンガム宮殿へ女王陛下に会いに行くところ。
頭の回転がとてつもなく早い女王陛下の毅然とした態度や、どんな相手でも最大限のおもてなしをする、英国紳士淑女たちの振る舞いが滑稽でかつ微笑ましい。すれ違いや誤解でBFGが襲われる、などのストレスのたまる展開にならず良かった。

BFGが都会の闇に紛れて移動する場面や、巨人の国の場所のぼかしかたなどが上手いと思った。人間は見ているようで、みたいものしか見ない性質をよく捉えているなぁと。

それだけ闇というのはファンタジーに不可欠だし、想像力を掻き立てる。BFGは世界のどこかで子供たちの声にずっと耳を傾けているのかもーー。なんて素敵な世界観は、Peter Panのネバーランドと一緒。

ラストシーンは、ソフィーは孤児院から引き取られたのかな?
BFGの書く本は、ソフィーのことかな?などと想像し、胸がじんわりとした。

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PAN 〜ネバーランド、夢のはじまり〜 [ファンタジー]

満足度★55点

PAN~ネバーランド、夢のはじまり~ ブルーレイ&DVDセット(初回仕様/2枚組/デジタルコピー付) [Blu-ray]

PAN~ネバーランド、夢のはじまり~ ブルーレイ&DVDセット(初回仕様/2枚組/デジタルコピー付) [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
  • メディア: Blu-ray

■壮大すぎて空想の余地がない

ヒュー・ジャックマン、ルーニー・マーラの存在感がなければ更に点を引きたいところ。
ピーターパンがどうやってピーターパンになったかの物語。

世界大戦中、教会の孤児院に収容されていたピーター。
シスターたちは強欲で意地悪で、食べ物もろくに与えてくれない。
ある夜突然、空からやってきた海賊たちに孤児達はさらわれて、ネバーランドで働かされる。
そこではのちにライバルとなるフック船長も奴隷扱いされていて、PANはフックと手を組んで、ネバーランドを牛耳っている黒ひげをやっつけるというお話。

確かに構成される画(え)はファンタジーなんだけど、なんていうのかなー、一つ一つのアクションが大きすぎ。何でもドカンドカンやればいいってもんじゃない。
空想の世界はひっそりとしているのに無限で、知られざる存在で繊細であって欲しい。

子どもをさらって海賊船が大胆に空を飛び、実世界の砲弾をかわして宇宙の果てに行ってしまうと、「描きすぎ」って思ってしまう。まだナルニアのように異世界の扉は小さい方が好ましい。
ピーターパンは妖精と人間の間にできた子だった。だが、自分の力を信じられず、皆に期待されるものの、最後まで活躍できない。
結局自分に自信を持てば、道は開けるという話。

余談だが、奴隷達が使役される場面や、ピーターが処刑台に立たされる場面など、ちょいちょい差し込まれるミュージカルのような挿入歌が【ニルヴァーナ】の『Smells Like TeenSpirit』だったり【ラモーンズ】だったりとロック名盤が多くて、そこだけ楽しめた。
はてさて、年代的には現在の子どもらには全く刺さらない選曲だが、彼らはどういう印象を持っただろうか。

Nevermind (Remastered)

Nevermind (Remastered)

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Geffen Records
  • 発売日: 2011/09/27
  • メディア: CD

ラモーンズの激情【40th アニヴァーサリー・エディション】

ラモーンズの激情【40th アニヴァーサリー・エディション】

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2016/10/05
  • メディア: CD

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【シンデレラ】と【イントゥ・ザ・ウッズ】、童話の実写化見比べて [ファンタジー]

■シンデレラ

満足度★55点

シンデレラ MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]

シンデレラ MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
  • メディア: Blu-ray

初初版の残虐さを無くした一般的な絵本『シンデレラ』の話を、そのままなぞっていて、目新しさは全くない。
冒頭の子どもの頃の幸せだった記憶が、哀しみの中エマを支えてきたというところだけ独自の脚色か。
ただ絵本と違って、成長したエマは自立心と好奇心が強く、ただ優しいと言うより確固たるポリシーが感じられる。

そしてこんな打算的な映画に役不足な継母役のケイト・ブランシェット
なぜエマを執拗にいじめるのか?それに対しての答えが老いへの恐れ…という陳腐な理由を、説得力のある演技でカバー。はっきりいって、エマより美しいから大丈夫だよと突っ込みたくなる。
自然体の美しさを持つエマと、ゴージャスで迫力のある美貌を持つ継母、この二人の対比は面白い。

あとは、絵本が動いた!という楽しさあるのみ。
子どもの時に空想して胸をときめかせた「お姫様」と「魔法」を思った通りに映像化してくれた、それだけですね。ただ最近のアメリカ映画はやすやすとその辺はクリアしてくるので、ありがたみも薄く…

とりあえずカボチャの馬車の変身シーンは二回見ました。


■イントゥ・ザ・ウッズ

満足度★60点



イントゥ・ザ・ウッズ MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]

イントゥ・ザ・ウッズ MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
  • メディア: Blu-ray

皮肉たっぷりの大人の寓話。
「シンデレラ+赤ずきん+ジャックと豆の木+ラプンツェル」という童話を、うま~くミックス。

主軸となるパン屋の夫婦。「子どもができない」という呪いは、主人の父親が魔女の庭から野菜(ジャックの豆の木の魔法の豆)を盗んだからだった。

その呪いを解いてやる条件として、魔女は4つの物を二人に集めさせる。
それらが上記の童話の主人公達にまつわる物なのだが、それは魔女自身にかけられた呪いを解くためのアイテムでもあった。彼女も「畑から野菜を盗まれた罪」によって、自分の母に呪いをかけられていたのだ。

パン屋の父が豆を盗む→娘を魔女に誘拐される→娘はラプンツェルと名付けられ幽閉→息子は何も知らず成長→魔女から呪いをかけられていることを知る→アイテムを取りに→その頃各々の目的を持って、シンデレラ、赤ずきん、ジャックが森を通りかかる。→赤ずきんの「赤いずきん」、ジャックの「白い雌牛」、シンデレラの「黄金の靴」。それらがパン屋が集めるものだった→赤ずきんのおばあさんを助け、逃げるシンデレラの靴を追い、ジャックに「魔法の豆」を渡すパン屋の二人。

さすが元はブロードウェイの脚本、四つの話をうまくつなぎ合わせていると感心した。
ちなみにラプンツェルの王子とシンデレラの王子は兄弟という設定にされていた。

一人の他愛ない行いによって、多数の人間が不幸に陥る負の連鎖。
互いの疑心暗鬼と不信から起こる、ジャックの巨人殺人事件。
怒った巨人の妻がジャックを探しに人間界で大暴れするのだが、そこでやっと皆の心が一つになる。


魔女自身が呪いをかけられていた被害者だということと、彼女はラプンツェルを彼女なりに愛していたことから、少し同情を引いた。

ジャックは母親を亡くし、赤ずきんもおばあさんを亡くし、シンデレラは偽りの愛から逃げ、パン屋の女房は浮気の罪から巨人に殺された。魔女は自暴自棄になって自ら呪われた。
皆何か罰せられているが、赤ん坊の時から被害者で落ち度のないラプンツェルだけが、お伽話どおり真実の愛を見つけた(と思いたい)。

なんだかんだ何が言いたかったのかとも思うが、結局は夢ばかり見て他力本願じゃだめってことなのかなと。
皆が力を合わせて、残されたパン屋の赤ちゃんと村(国?)を再建していくことを匂わせて、物語は終わる。

個人的にシンデレラの継母や血のつながらない姉たちが、グリムの初版どおりに「足を切ってまでガラスの靴に押し込めた」描写が好き。彼女らのゴシック風パンクっぽい衣装も好きだ。
画全体を覆う「不気味さ」もグリム童話のえぐさや不穏さを醸し出していて好みです。

しかし浮気してしまう王子さまよりも先に、「王子の正体見たり」と既に森に逃げ込んでいるシンデレラ、ちょっと気が早すぎない?

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ザ・ヘラクレス [ファンタジー]

満足度★60点
 
ザ・ヘラクレス [Blu-ray]

ザ・ヘラクレス [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
  • メディア: Blu-ray

懲りずに神話物に期待する私。今回も空振りでした。
レニー・ハーリンが適当にやっつけで作った感じ。
ヘラクレスから神がかったパワーをそぎ落とし、父ゼウスを信じ切れない等身大の人間を描こうとしたら、安っぽい恋愛話をひたすら引き延ばしただけの映画になってしまった。

ヘラクレスの12の偉業の中で描かれたのはたった1つだけ、とってつけたようなライオンとの格闘のみとは寂しい限り。

半身半馬のケイローンも人間だったし、神がかったパワーを発揮したのもラストだけ。
架空のファンタジーはドラマ「ゲーム・オブ・スローン」のように大成功なのに、何千年も言い伝えられてきた神話は等身大として描こうとする。
なんだか勿体ないなぁ。
だったら異母兄弟に追放された後、12の偉業を仲間と攻略しつつ自分の国を目指すというようにアレンジしても良かったのでは。

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マレフィセント [ファンタジー]

■真実の愛を新解釈した秀逸メルヘン


マレフィセント MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]

マレフィセント MovieNEX [ブルーレイ+DVD+デジタルコピー(クラウド対応)+MovieNEXワールド] [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
  • メディア: Blu-ray

 

「眠りの森の美女」をベースに独自の展開をみせるファンタジー。
アンジーのドはまり役としても話題になった。

白雪姫、シンデレラしかり、出会って者の数分で恋に落ちる王子様。
夢見るにはあまりにも現代はせちがらすぎて、そんなメルヘンには到底浸れない。

最近のアメコミでも、バットマンやハルクなど心に闇を抱えたダークヒーローの方が、息が長い人気。
高校生のスパイディだって、グウエンを亡くすなど心に深い傷を残す。

その流れを汲んでか、アナ雪、マレフィセントなど、今まで単純に「悪」として扱われてきたヴィランに理由付けがなされるようになった。
彼らもきっと、普通の人間と同じように傷つき、妬み、何か深い理由があって人を襲うようになったはず。
善と悪というシンプルな世界も時には必要だが、人間性を持たせたドラマはメルヘンに深みを与える。
マレフィセントも一度は真実の愛を交わしたと思った人間に裏切られ、妖精としてこれ以上のない屈辱を受ける。

結果として男の一番大事なものを奪うという復讐に酔いしれ、憎い本人ではなく無垢な子供を傷付けることになっしまう。
罪悪感を感じたマレフィセントは、呪いをかけた子供を自分自身で面倒をはめになる。
その時のアンジーの演技がいじましい。
秀逸なのは、呪いを解こうとしたマレフィセントが、自分の呪いに阻まれること。
これは「覆水盆に帰らず」ではないが、やってしまったことは取り返しがつかないこと、そして人の強い恨みは本人が忘れても周りに影響を与え続けると、改めて思う。
人を傷付けることや復讐することは自分も不幸にする。子供が見てもわかりやすい。

そして男女の愛より母子の愛。
新しいメルヘンの解釈は新鮮で、面白かった。


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