私は最悪。 [青春・恋愛・コメディ]
満足度★70点
■何も選択しないという選択
「こう生きねばならない」というくびきから解放されたものの、決断をすることの責任感は増した現代女性。
愛されること・結婚すること・子どもを産むこと。
自分に確固たる「核」はないが、パートナーと暮らすことで「自分の人生を生きている感覚がしない」または「人生のわき役のような気分になる」という恐れを抱く主人公。私は自分にやりたいことがあるから、誰かと一緒にいても乗っ取られる気持ちにはならないが、理解できるという点ではすごく共感した。
主人公は傍から見れば愛されて望まれて、幸せになれるに違いない。誰ともパートナーシップを築けなかった人間からみれば、なんてもったいない、羨ましいと思われる立場。
でも、愛を受け入れたら最後、自分は●●の恋人以上の肩書は持てないし、子どもを産んだら最後、子供中心の人生になってしまう。承認欲求はあるが自己肯定感は低め。
だから「どんな選択肢も選びたくない」。そんな複雑な現代女性を、鋭く突いていると思う。
生理がきたのか流産したのかわからないが、最後のシャワーシーンの、ほっとしたような顔が印象的。
でも、元恋人の死に際にもお見舞いにいかないのは「最悪の選択」だとは思った。