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「エブエブ」アカデミー賞席巻で思うこと [★映画こぼれ話]

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A24の快挙。日本の主なメディアは「アジア人が主演賞~」などと表層しかなぞって伝えないから、このエブエブが過去と違う点を考察したい。


アカデミー賞は本当に忖度なしに投票された結果かというと、さにあらず。
恣意的にブームを作る傾向にあるので、それに踊らされている気がしなくもない年もある。

例えばデンゼル・ワシントンとハル・ベリーが黒人でW受賞したときは、黒人にも賞をやっておこう的な、黒人に理解示してますよーという白人社会の上から目線も感じたし、ブラックパンサーが作品賞にノミネートされたときも、普段ヒーローものをみない黒人社会のなかで黒人ヒーローが話題になって興行が伸びたから、金儲け的な忖度を感じた。
申し訳ないがブラックパンサーがアカデミー賞の作品賞にノミネートされるほどの内容ではないと感じたのだ。もちろん、ヒーローとしての存在感は際立っていたし、マーベルシリーズの中では政治色の強い、実社会に通じるストーリーではあったが。


なので、外国語映画賞(という括りがあった)でアジア映画などがノネミーされてあんまり嬉しがるのも、白人の権威主義者たちに足元見られるぞと思っていた。
最近は【ミナリ】や【パラサイト】などが評価され、増えてきたアジア系移民への忖度なのか(両方韓国だけども)、またはアカデミー会員にも有色人種が増えたことで本当に多様性となったのかはわからないけど、色々いい方向への過渡期にあってほしいと思う。

で、今回の「エブエブ」は何が特徴なのかというと、白人の監督がアジア人を主役に迎えて、アメリカの移民を題材にしたストーリーで、アメリカ国内で封切られた生粋のアメリカ映画ということ。今までありがちな「外国語映画賞」の枠ではないのです。

そしてかつてハリソン・フォード演じるインディ・ジョーンズでバディ役を演じたキー・ホイ・クアンは移民として苦労した背景をもつ。多様性と昔からお題目を唱えてきたにもかかわらず、奴隷として大陸に連れてきた黒人に対してやっと同じアメリカ人として認めるようになった次は、「移民」と真正面からやっと向き合ったということ。白人が、マイノリティーになるかもという恐怖から解放されて、有色人種を敵視しなくなってきたのかもしれない。少なくとも都市部では。
 


ただ、映画の内容を無視して必ず女性やマイノリティーを雇わなくてはならない、役をあてがわなきゃいけないなどの制約には疑問。よけい分断をうむなのではないだろうか。例えば【ブロークバック・マウンテン】のようなカウボーイ映画に黒人やアジア人が重要な役割で出ていたらおかしいし、【プリティ・リーグ】に黒人チームメイトがいたらおかしい。その反対に、黒人社会を描いた作品に、必ず理解のある白人が登場したらおかしいではないか。最近の映画の恋人同士はほぼ異人種同士にするのも不自然と感じる。
そういったことがあまりいきすぎないようにしてほしい。


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RRRコラボカフェ@新宿丸井アネックス「dish」 [★映画祭・イベント]

https://dishup.jp/collaboration/rrr/

「RRR]のコラボカフェへ行ってみました。
平日午後、若い女子でいっぱい(95%)。
店内天井には劇中エンディングで流れた民族旗がはためき、店内中央にはナートゥの舞台となった宮殿のパネルが置かれる(余談だがこの宮殿はウクライナでロケされた)、店内にはエンドレスでBGMが流れる。

はっきりいって装飾は「こんなもんか…」だし、メニューも可もなく不可もなく美味しいが「3300円も出すならそこそこのフレンチランチ食べられるけど、思い出作りをしたいからしょうがない!」と自分の心を矯正せざるを得ない価格といえるだろう。

ただ90分でコースを食事量を平らげられるのか?という心配は無用でした。
デザートは3種選べるが個人的には「クリームブリュレ」が冷たくて美味。
プリンは揺らすとマジパン?プレートのビームとラーマがぶるぶる震え、まるで「ナートゥ♪」を踊っているように見えるという遊び心。

ARはandroidOS7.0では読み込みません。友人のアイフォンを後ろから撮影するという、まるでステージクラフトのように画面を撮影するというアイデア(と偉そうにするほどのことでもない)。

近づけると劇中の特徴的な背景が出てくるので、それをフレーム代わりに写真を撮ることができる。

とりま❶宮殿パネル前でナートゥポーズ、❷壁際の虎狩り中のビーム、❸レジ前の最強の肩車は思いっきり写真を撮ってきました。

3300円にドリンクをつけると4000円近くなるし、アクリルスタンドを買ってもどこに飾るの?という現実志向の私たちはドリップコーヒー1杯分だけ買って帰りました。大人の財布の紐は、容易にはゆるまない。

★最後にナートゥをご存知でない方は、こちらをどうぞ。
https://news.mynavi.jp/article/20230117-2565556/


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私のデザートプレート
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友人のデザートプレート。森をイメージしたティラミスのみ違う
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股間が黒いのはおもらしではない。そこに頭をはめるのだ!
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こんなグッズが売ってるよの展示
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水のARはなかなか消えず友人が困っていた(笑)

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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス [SF]

満足度★85点

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■絶望に効く薬は

 

https://gaga.ne.jp/eeaao/


マイカテゴリーにはSFとしたが、SFだしアクションだしヒューマンドラマだし。コメディ、下ネタ、名作のオマージュ、すがすがしいほどカオスだけど、メッセージは意外とシンプルです。


絶望に効く薬という漫画が昔あったが、結局それは「優しさをもって相手を受け入れること」しかないんじゃないかな。
ジョイの抱える虚無感は、どんな世界でも何かが欠落していて、必ず人は死ぬし、人生に意味はない、というもの。あらゆる人生をジェットコースターで体験しちゃった人格にとって、人生に意味がないと感じてしまうのもよくわかる。人も動物もあらゆる存在は、ただその時を精一杯過ごして生きて死んでいくだけ。そのどうしようもない事実を前に、どうやったら心が満たされるのか。

結局は「死ぬまでになるべく満ち足りた時間を増やす」ことしかないんだよね。

だからこそ「ずっと君を見ていた」「世界の最後にこの世界の君に出会えてよかった」、とさらりと告げるアルファ世界のウェイモンドの台詞がじわじわ胸を締め付けます。


アルファ世界のジョイは、無理矢理バースジャンプを体験させて虚無を味合わせた母親を憎んでもいるし、また、他の世界の母親が救ってくれるのではと期待もしている。何をどう行動しても人生に意味はないという虚無感からベーグル(ブラックホール)へ母親を道連れにしようとする。結局、愛憎の混じった究極の反抗期。


「人生の意味」については、意味を考えること自体が無意味だと私は思う。人は「意味という概念を持たない」他の動物と同じく、「どうにかして生きる」目的で生きているだけだと思う。人生は「目的」を見つけ、それをこなしていく連続した営みでしかない。


永遠の時間と命を与えられたらきっと人間は考える肉体と化し、しまいにはそれにも飽きて無となるんじゃなだろうか。あの考える岩というのはすごく抽象的だけども、比喩としては結構平凡でもある。


宇宙に比べたら税金なんてたかが数字で、人間は他人(先人)の決めたルールに雁字搦めになってくだらない時間を過ごしているかもしれないけど、結局生きている以上、対処していくしかない。


そしてどの世界にいても、気持ちを向けてくれた相手に心を開かなければ閉じているのと同じ…。人間は岩と違い、一人では幸せを感じられない生き物。ジョイは本当は幸せに満たされたいからこそ、家族の存在に苦しんでいたんでしょうね。


レミーのおいしいレストランから、2001年宇宙の旅まで、似ているけどちょっと違うパロディ世界や、お尻の穴に優秀賞のトロフィーを突っ込ませるなど(そんなものくそくらえって?)、下ネタもぶっこんで大いに笑わせるけど、移民問題やLGBTQも絡めて、みんな短い人生なんだから認め合って楽しく生きようよ、という暖かな愛に満たされた映画でした。


それにしてもマルチバースはマーベルしかり最近のSFで流行っているけど、このエブエブで一つの集大成なのではと思うね。肉体が行き交うのではなく、精神が行き交うという新しい描き方。


肩車アクションはRRRを彷彿とさせたけど、制作時期的にかぶらないからまさか違うよね。子供の当時インディやグーニーズに夢中になった世代(グーニーズ2の企画は頓挫したらしい)、ヒサビサのキー・ホイ・クァンには感無量でした。

グーニーズ [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • 発売日: 2010/04/21
  • メディア: Blu-ray


 

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