私は最悪。 [青春・恋愛・コメディ]
満足度★70点
■何も選択しないという選択
「こう生きねばならない」というくびきから解放されたものの、決断をすることの責任感は増した現代女性。
愛されること・結婚すること・子どもを産むこと。
自分に確固たる「核」はないが、パートナーと暮らすことで「自分の人生を生きている感覚がしない」または「人生のわき役のような気分になる」という恐れを抱く主人公。私は自分にやりたいことがあるから、誰かと一緒にいても乗っ取られる気持ちにはならないが、理解できるという点ではすごく共感した。
主人公は傍から見れば愛されて望まれて、幸せになれるに違いない。誰ともパートナーシップを築けなかった人間からみれば、なんてもったいない、羨ましいと思われる立場。
でも、愛を受け入れたら最後、自分は●●の恋人以上の肩書は持てないし、子どもを産んだら最後、子供中心の人生になってしまう。承認欲求はあるが自己肯定感は低め。
だから「どんな選択肢も選びたくない」。そんな複雑な現代女性を、鋭く突いていると思う。
生理がきたのか流産したのかわからないが、最後のシャワーシーンの、ほっとしたような顔が印象的。
でも、元恋人の死に際にもお見舞いにいかないのは「最悪の選択」だとは思った。
シコふんじゃった。 [青春・恋愛・コメディ]
■相撲の魅力は伝わらないが、爽やかな後味の青春映画
もっくんが半裸になった!と当時話題になりましたね。
それからもう30年。みる機会がなく、ようやっと拝見。
軽薄だけどモテ男で気の強い主役・秋平にもっくん。伝統やしきたりなど知らずとも、おかしいと思えば審判にくってかかるのがいい。相撲の歴史や用語を無理に使わず、説明臭くならならず、あくまでやる気のない寄せ集め部員が一勝でもいいから勝ちたい、と奮起するようになるまでをコミカルに爽やかに描く。
部員たちの性格や体の動きの癖をうまく利用した指導方法も面白い。
コメディ担当の竹中直人と、飄々とした柄本明“節”が絡み合いそうで絡み合わないことが、むしろドタバタしすぎなくていいですね。
正子は相撲をとりたいスージョなのかな?と思っていたら、シンプルに恋する乙女だったのが予想外。
「私、相撲取る!」と胸にテーピングを巻いて出てきたときはなるほど、と唸りました。土俵上では肌色か白のテーピングなら着用可なんですよね。
制作陣は仕切り線で足を滑らすなど、細かいところで相撲をよく観察している。
ただ納得できないのはマネージャーかと思いきや、ただの冷やかしだったヒロイン・清水美沙の動機が最後までよくわからなかったこと。また、いくら廃部を救うとはいえ秋平が留年までするかな?
しかしタイトルが最後のヒロインの台詞とはしてやられた!
カメラを止めるな! [青春・恋愛・コメディ]
■「がむしゃら」が胸を熱くする
ちょっと怖くて大爆笑して最後は胸がジーンとして。
情熱が人を動かして、皆ががむしゃらになってひとつのことをやり遂げる。最後は思わず拍手しました!
大多数の人がそうだったと思うが、「ゾンビ映画を撮ってたら本当にゾンビに襲われちゃったという設定の映画を撮ってるヤツらの話」ってとこまでは、情報は入れていた。 ここから先がどうなるのか。
妄想と期待でパンパンになった自分をいさめるように、あまり期待しすぎない方がいいぞ…と身構えてました。
ほら、案の定撮影をめぐってのよくある内幕ドラマになりそうだぞ… と思っていたら!
あのゲロが、あの「ちょっと」が、あの棒読みのセリフが、あまりにも唐突だった「ポン」が、バイオレンススイッチ入っちゃったメイク役が、定点カメラが、あぁ、こういうこと!っていう大爆笑の渦に!
いやびっくりしました。
そしてまさかの肩車で最後ホームドラマになっちゃうんだもん。
不覚にも泣けた!手抜きのない伏線の回収!
人生を諦めた父親と人生を諦めていない娘と。
誰かの一生懸命さが現場に伝播する瞬間と。
多少の青臭さがあったけど、素晴らしい。
映像コンテンツが手抜きの流れ作業になって、制作サイドは締切を間に合わせることが大人だと言われるようになって。
イメージ戦略だけを考えてるアイドルが事務所のごり押しで主役になって…。演じ手の都合で脚本が書き替えられて…。
監督役の俳優さんの鬼畜ぶりとペコペコ演技のギャップ、プロデューサー役のおばちゃんがツボでした。才能のある無名の方が、こんなに輝ける作品に出会えて良かった。 あの、皆の最後の笑顔は本物かもしれないね。
メン・イン・キャット [青春・恋愛・コメディ]
君の名は。 [青春・恋愛・コメディ]
お婆ちゃんはちょっと説教臭いかな…。
・「酒税法違反」←高校生が知っててもおかしくないけど唐突。・「生まれ変わったらイケメンの男の子にしてください」←普通だったら、都会のかわいい女の子にしてくださいというところを、何故イケメンの男の子? これは、何故入れ替わる相手が瀧くんなのかと突っ込まれることへの予防線がありありとしてて、興醒め。・髪の毛切って「失恋?」←(三葉が巫女だから長い髪に思い入れがあったとしても)いつの時代?・「嫁入り前のむすめ」←いつの時代?
LA LA LAND ラ・ラ・ランド [青春・恋愛・コメディ]
★満足度85点
■夢は叶ったけれど、隣にいるのはあなたじゃない
見終わってから暫く経つが、ようやっとレビューを書こうと思う。
文字におこすと凄く陳腐になってしまいそうだなと思い、大分経ってしまった。
まず、見終わった日の事を。
終演して隣の友達を見ると、俯いて黙りこくっていた。
期待しすぎて、つまらなかったのかな?と思ったら、コインロッカーまできたときに突然、「いじわるー!!」と泣き出した。そして「こんなのやだよー!」と人目を憚らず号泣。
びっくりして大笑いしつつも、それまで、胸にたまったはち切れんばかりの切なさを一生懸命こらえていたのが瓦解して、結局私も涙が溢れて止まらなかった。
友達がいうように、カサブランカやロミジュリのような「どうしようもない状況で別れざるを得ない二人」ではないからこそ、こんな結末を用意したチャゼル監督はまさに「いじわる」なのかもしれない。
そういう私は、失恋の切なさよりも、封印していた「夢見ていたあの頃」を揺さぶられて苦しくなった。
どこかの机の引き出しや物入れにそっと眠っている、捨て切れなかった高校時代の書きかけの小説やへたくそなイラストなどがうっかり目に入ったときの、かさぶたをめくられたような痛み。
自分へのふがいなさと、「夢が叶う人は少ない」という言い訳をしてきた人生への痛み。
夢を抱いた結果がどうしようもないお粗末なものでも、夢といえるものを追ったことのある人なら、彼らの姿に自分を重ねるんじゃないだろうか。特にミアのオーディションでのシーンには。
だからこそ、夢を叶えた代償に失った二人の「時間」が、見終わった後にじわじわ胸を締め付けるのである。
セブが見上げた天井の染み、不本意なバンド参加、ジャズバーの名前、そしてラスト怒濤の「タラレバ」。
どうしようもない感情を鍵盤にのせて奏でるセブ。
夢は叶えたのに、隣にいるのはあなたじゃない。 なんだこれ、書きながら切なくなってきたぞ…!
貧しくても一生夢を追っている方が幸せなのか、一緒に夢を追った人がいなくても成功することがいいのかなんて、比べられない。
それこそが恋という熱病に似た「夢」というものを見させてくれるハリウッド(ラ・ラ・ランド)の甘さと辛さなのだろう。
振り返ると、二人の破局の予兆は色々な台詞や描写で表されていた。 初キスをした思い出の映画館は閉鎖し、昼間見る展望台はミアの目には「いけてない」と色褪せて見えた。
女は現実的で、男は女との思い出を糧に生きる。
きっと旦那はパリに行ったときのプロデューサーで、適当なところで手を打って、安定な生活と堅実な男を選んだな!などとミアに悪態をつきつつ、よせばいいのにサントラを聴いてまた切なさに浸る。
溜め息が出るほどズルい映画である。
蛇足だが、【ラ・ラ・ランド】は王道中の王道でもあるので、セッションほどの意外性は全くないし、プロットの緻密さもセッションの方が上だと思う。でも、愛される映画としては「ラ・ラ・ランド」に軍配をあげたい。
未来は今 [青春・恋愛・コメディ]
■こだわりは買う
フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ [青春・恋愛・コメディ]
★満足度50点
■恋したくないといいつつ・・・
アナが魅力的。最初もさいな~と思ってたけど、化粧っ毛のないところとか、純粋そうな目の輝きとか、ガツガツしてなくてセレブ狙いの軽薄な女じゃないところが、クリスチャンに刺さったんだろうなぁ…と思いました。
個人的にグッとにきたのは、車プレゼントでもなく、ヘリデートでもなく、アナがバージンだと告白する場面で、クリスチャンが戸惑いながら「何してたんだ?」というところ。
早くバージン卒業しなきゃ!なんて焦る大半の女子と違って、手あかのついてない女ってところも、クリスチャンをくすぐったんでしょうねぇ。
初めての恋愛とセックスに真っ直ぐ過ぎるアナ。触れたい、一緒に寝たい、なーんて口にするから相手が物怖じすることがわからないのが惜しい。もうクリスチャンを手玉にとってるようなものなのに。
クリスチャンも恋愛は駄目だ、愛してはいけないとかいいつつ、「契約どうでもいい、デートもOK」なーんて、めちゃアナに惚れてるじゃん!と激しく突っ込んでいました。
あんたらのやってることが恋愛というのでは~?と教えてやりたくなりました(笑)
女子高生向けの漫画レベルのおとぎ話だった。
続編(小説)では結婚&妊娠もするらしい。
スキャンダラスではなく普通に幸せ…ですね(笑)
ヴァージン・スーサイズ [青春・恋愛・コメディ]
★満足度65点
■自己陶酔による軽やかな死
少女時代の独特の世界。
ちょっとした秘密めいた行動などが、凄い背徳感のある冒険をしているように感じたり。
揺らぎというのかな、本当にちょっとしたことで怒ったり落ち込んだり、うかれたり。
自分は他の同年代より大人だという思い上がり。
特に厳格で保守的な母にコントロールされた姉妹の閉塞感は手に取るようにわかる。
それにしても瑞々しくて端正な顔立ちの4姉妹に対比して、語り手となる男子グループの配役の不細工なこと。
女の子の成長のほうが早いのは万国共通、しょうがないのだけど。
彼らに、(先に死んだ子は省いて)4姉妹の爪の垢ほどの詩情をくみ取れる感性があったなら、彼女らはあれほど絶望しなかったかもしれない。
絶望とはいうものの、現実社会で大人が直面するような絶望ではなく、なんというかもうちょっと「世の中が色あせた」に近いかも。
一度エッチしたら興ざめしちゃう男子に、甘い恋の持続を夢見たラックスは、失恋に傷ついたわけではなく、男というもののつまらなさにがっかりしたのではないだろうか。
衝動的に能動的に死を選んだ4姉妹。
(先に死んだセシリアの死だけは、劣等感による未来への恐怖で、異種だと思う)
そしてあの田舎という環境で、自分たちはラプンツエルよろしく「塔に閉じ込められたお姫様」であり、現実には王子がいないことを知った悲劇のヒロインであり、また、現実を見たくないだけの我が儘で平凡な少女なのである。
一種のナルシズムでつながった4姉妹は永遠に自分たちの世界で生きることを望んだ。
その淡い泡のような彼女たちの世界を、幻想的に甘酸っぱく描いたさまは、まさに女子目線の青春。
絶世の美人というわけではなく、田舎で多少チヤホヤされていただけの彼女たちは、死ぬことによって小さな小さな世界の「伝説の美人姉妹」になった。それを本能的に知っている、女という生き物は怖い。
>>俳優メモ
【ローズ家の戦争】や【私がウォシャウスキー】で一時期は映画界を賑わしたキャスリン・ターナーが、びっくりするほど腰骨がでっかい中年太りのおばさんに。
また、姉妹に甘く優しい父親にジェームズ・ウッズ。いつも嫌な役や堅い役ばかりなので、今回は対照的な役。
姉妹を羨望のまなざしで見つめる取り巻きの男子の一人に、あのSWでアナキンをやったヘイデン・クリステンセン。
まだこのときはガリ細でハンサムさのかけらもない。
恋するリベラーチェ [青春・恋愛・コメディ]
★満足度60点
内容には全然興味ないものの、マット・デイモンとマイケル・ダグラス、この二人のラブシーン見たさに2時間耐えたようなものです(笑)
セレブ恋愛物のセオリー通り「熱愛→偏愛→倦怠→傲慢→破局」のコースをたどる。
マット扮するスコットは獣医を目指しているのだが、どんな固い志を持った青年でも金の前では怠惰になっちゃうのね。
リベラーチェは飽きた玩具のように若い子をとっかえひっかえする。
スコットも、もれなくその運命を辿るのだがセレブリティの恋愛って何でこう分かりやすく浅はかなんですかね。
二人で一緒に築き上げる「何か」というものが決定的に足りない。
片方が完成された世界を作り上げていると、もう一人はそこへ飛び込むより仕方が無い構図になってしまうから、スコットは極力リベラーチェの意に沿うのだが、リベラーチェは彼に自由な時間を与えなかったり、強引に整形させたり(!)と自ら二人の関係をあえて壊すような我が儘ぶり。
スコットも整形に対して戸惑いながらも言いなりになっちゃうんだから、金持ちの圧倒的パワーと自信って本当凄いわ。
あまり中身の無い内容ですが、大胆な場面展開・冗長なようでテンポのいい物語の運びなど、随所でソダーバーグ節が感じられて飽きませんでした。
二人の濃厚なキスやら、(オケツの)穴を掘りたいだの嫌だのと痴話げんかしている様が、おかしいやら見たくないような可愛いような。
マット・デイモンのむき出しのお尻と、マイケル・ダグラスのハゲ姿が拝めるだけで一部映画ファンには一見の価値あります(笑)
しかし捨てられる若者たちを尻目に、料理担当の男だけはリベラーチェの元に留まり続けるというのが皮肉。
料理はゲイの心もつかむんですね。
俳優メモ>>ロブ・ロウ
怪しい整形外科医にロブ・ロウ。昔は【アウトサイダー】【セント・エルモス・ファイアー】などティーンエイジャー系青春映画にバンバン出ていました。50歳なのだが、凄く若く見えました。整形してたりしてw