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バーチュオシティ/のちに大物俳優になる2人が登場 [SF]

満足度★55点

バーチュオシティ [Blu-ray]

バーチュオシティ [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
  • 発売日: 2013/09/13
  • メディア: Blu-ray
■着眼点はいいがB級

同年代の作品と比べても安っぽいがアイデアはいい。1995年の作品。4年後(1999)のマトリックスと比べるのは酷だが、同年代のアポロ13、ガタカ(1997)などと比べると、B級っぽさが目立つ。

格調高いSFとは趣が異なる内容だとは思うが、それにしてもディスコ調の音楽やスーツ姿などを用いて、あえて「ダサく」見せている感じも否めない。

デンゼル・ワシントンとラッセル・クロウ(認知度が一気に上がった【L.A.コンフィデンシャル】はこの2年後だが)という2大スターの共演ながら、彼らの持ち味や凄みが消されてしまっており勿体ない。

ラッセル・クロウ演じるヒールも、アメコミの「ジョーカー」の二番煎じのよう。
歴史上の様々な悪人をシュミレーションさせて出来上がった人格、ナノマシンによる外殻形成など、アイデアはとても独創的だと思うのに、生かし切れておらず、ただのド派手なアクション映画に成り下がってしまった。
この作品こそリメイクしてほしい。

L.A.コンフィデンシャル 製作20周年記念版 [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
  • 発売日: 2021/04/21
  • メディア: Blu-ray

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ザ・クリエイター/AIが人間に近づけるかというテーマの限界 [SF]

満足度★70点

■雰囲気はかうが設定が粗い


ザクリエイター.jpg


●AIは人間に近づけるかというテーマは、個人的にはもう答えが出ている

大好きな作品「ローグ・ワン」の、ギャレス・エドワーズ監督の新作。

一瞬死ぬ前の脳の記憶をスキャンする機械や、地表をスキャンして攻撃する「ノマド」のデザイン、オリジナルから記憶を移したマヤの躯体とジョシュアの邂逅と死、

ローグ・ワンの展開を彷彿とさせるが、音楽やビジュアルが醸し出す崇高さは壮大なギリシャ神話を見てるようでもあり、上質なSF作品の一つであるとは思う。


だが、いろいろと話が雑な箇所が見受けられる。
そもそもアルフィーは「自力で成長するAI」なのだろうか。
マヤは出産前からAIを作っていた。ということは、ノマド攻撃の際に命を落としてしまった二人の子供を形見として作ったわけではない。

ここで「成長するAI」だという仮説を立てて疑問を書く。

・子供のAIは成長するとしたら中の骨格の金属は誰が作り直すのか?

・有機物の摂取は必要なのか?
あらゆる生物は人間も含めて、体内に様々な生き物が棲んでおり、それにより一つの肉体として存在可能となっている。無機物のロボットが、それが可能だとは思わない。骨格がめきめきと分裂と再生を繰り返すことはありえないと思うので、「成長するAI」説は荒唐無稽に感じる。

「成長するわけではない5歳児程度の子供のAI」だという仮説を立てて疑問を書く。
・あの年齢の外見にしたのはなぜか(マヤとジョシュアが再会する年月という説もあるが、再会する月日は、マヤが知る由もない)。

・完成されたプログラムをインストールされている他の大人のAIと違い、自力で学習するAIなのか。


●この世界に対しての疑問

・大人の人間型AI、摂取した栄養はどこにいくのか。
・アルフィーを直しにいったヒマラヤのような寺院(ネパールのルクラっぽい)で、いつの間にか直っていたアルフィー。だれがいつ直したのか。

・ニューアジアの政府は一体なにをしているのか?


AIを持て余してお馴染みの自作自演を繰り広げて他国を攻撃する口実にするのはいかにもアメリカらしいが、対する「ニューアジア」の、政府らしき機関が全く登場しないことに違和感。なぜアジア側がゲリラ戦ばかりなのだろう。

AIものに新機軸を見いだせたか?というと、科学技術と設定が曖昧ゆえに、曖昧な感想しか持てなかった。ただ、アルフィーの子役の演技には心を揺さぶられた。


まじめな話、あまたのSF作品は脳だけが人間たらんとしすぎている気がする。

鳥の脳を、羽毛もくちばしもない無機質ボディに移し替えたとして、それは果たして鳥といえるのか?というように、私たち人間も体あってこその人間だと思う。

人間は体内の様々な生物と共生している。反射という現象は、筋肉や様々な部位が脳を無視して命令する。それを無くして脳だけで人間とは呼べないはず。

AIがいくら高度な計算能力や記憶力を持っていても、それは人らしき存在であってヒューマンではない。また、痛みや死への恐怖があってこそ生物といえるのでは…と。

なので、ロボットが壊れて泣いていた人間の描写にも違和感。頭脳を司る部位が無事なら、いくらでも身体を再構築できるだろう。


その辺は私の愛するSTARWARSの世界観が一番しっくりくるのだ。
無理してビジュアルを人間に寄せようとしていない。AIという言葉は存在したなかっただけだろうが、あくまでメカやロボットの延長という感覚でドロイドが活躍している。職業ドロイドがほとんどで得意分野に特化した様々な特技があり、
ドロイドはパブではオイルを挿し、プログラムされていない言語は話せないとのたまう。
高度なプログラムにより、人間とも軽口をたたき合う会話ができるドロイドもいるし、ドロイド語しか話せないポンコツ風のドロイドもいる。そこに友情めいたものをはぐくむこともあるし、犬と人間の様にバディとなるドロイドもいる。壊されてもメモリーさえあれば直るので、数年後に稼働するドロイドもいる。そこに「死」という悲壮感はない。やはりあくまで「メカ」なのである。

そのメカが人間と共闘し、種同士の戦いではなく、理想の体制というものを実現するために共存していいる。それでいいじゃないかと思う。私の中でロボットと人間の完璧な関係性はスターウォーズで終了している。SW賛美のようになってしまったが、人間に近づくAIの脅威というアイデアに半ば食傷気味なので、もうそこのジレンマにとらわれないAIものを作ってもいいのではないだろうか。

ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー 4K UHD MovieNEX [4K ULTRA HD+3D+ブルーレイ+デジタルコピー+MovieNEXワールド] [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
  • 発売日: 2020/04/29
  • メディア: Blu-ray


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「ドミノ」~ロドリゲス節が光るサスペンス [SF]

満足度★68点


ドミノ.jpg

■そっち系か~…

ぶっちゃけ、ダイアナと出会ってからの展開で「あ、そっち系?」と肩透かしをくらったのが印象。
予告のみ拝見、監督のインタビューは読んだものの、あまり前情報は仕入れず。


冒頭5秒で騙されているというキャッチコピー、予告編で「脳をハッキング」うんたら流れてたので、「ネタバレじゃーん、AI使った新たな犯罪もの?ロドリゲス監督も騙し騙されの上質なサスペンス作るんか」と勝手に思っていたら、さにあらず。


あれれ、超○力系でした。でも原題は「ヒプノティック=催眠」とそのまんま…なので、制作陣は隠しているつもりはなかったんだな。邦題を「ドミノ」にされたことで日本人はまんまと騙されたのかも。
「インセプション」の
ウィリアム・フィクトナーが出演していることから、ちょっと同等のクオリティを無意識に求めてしまったのかもしれない。


 


WW2時代の超人化計画よろしく、人体実験系の割とありふれた話ではあるが、手品師などは話術や身振りや声のトーンなどで人の意識を任意でそらすことができるので、人間の隠された能力として強化できそうではある。キリスト、ブッダなど伝説の指導者は、人を虜にし、催眠状態にさせる話術やオーラが備わっていたかもしれない。いやきっと、稀代の伝説的存在はそういうカリスマ性を持っていたのだろう。


 

話は戻るが、不必要なグロ、サイコ的なシャワーシーンなど、「プラネット・テラー in グラインドハウス」や「シン・シティ」を監督したロドリゲスがやりそうな味付けが、ちょこちょこと顔を出す。
サイコホラーやゾンビものが好きそうな演出にちょっとニヤリ。ちなみにシン・シティは共作で原作ありだけど隠れた名作だと思う。


話の展開は確かに騙し騙されではあるものの、ちょっとなんでもあり的な雰囲気になってきて、「組織」という便利で漠然としたものが登場すると風呂敷を広げ過ぎた感もある。

まあ娘につながる貸金庫の暗号は、よくあるアナグラムだろうなと思ったらやっぱり。
デルレーンはダニーの養父母のことにすぐ察しがつかないか?と思ったりもする。


自由、全体主義への警告・・・と深掘りするほどの仰々しさはない。あくまで、ある家族の戦いの話。
どことなくB級感が漂う作品なのでありました。


続編も作れそうね。


 



シン・シティ 復讐の女神 スペシャル・プライス [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
  • 発売日: 2017/12/20
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グラインド・ハウス U.S.A.バージョン プラス [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: ジェネオン・ユニバーサル
  • 発売日: 2011/04/27
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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス [SF]

満足度★85点

2023-03-12T00:11:01.jpg

■絶望に効く薬は

 

https://gaga.ne.jp/eeaao/


マイカテゴリーにはSFとしたが、SFだしアクションだしヒューマンドラマだし。コメディ、下ネタ、名作のオマージュ、すがすがしいほどカオスだけど、メッセージは意外とシンプルです。


絶望に効く薬という漫画が昔あったが、結局それは「優しさをもって相手を受け入れること」しかないんじゃないかな。
ジョイの抱える虚無感は、どんな世界でも何かが欠落していて、必ず人は死ぬし、人生に意味はない、というもの。あらゆる人生をジェットコースターで体験しちゃった人格にとって、人生に意味がないと感じてしまうのもよくわかる。人も動物もあらゆる存在は、ただその時を精一杯過ごして生きて死んでいくだけ。そのどうしようもない事実を前に、どうやったら心が満たされるのか。

結局は「死ぬまでになるべく満ち足りた時間を増やす」ことしかないんだよね。

だからこそ「ずっと君を見ていた」「世界の最後にこの世界の君に出会えてよかった」、とさらりと告げるアルファ世界のウェイモンドの台詞がじわじわ胸を締め付けます。


アルファ世界のジョイは、無理矢理バースジャンプを体験させて虚無を味合わせた母親を憎んでもいるし、また、他の世界の母親が救ってくれるのではと期待もしている。何をどう行動しても人生に意味はないという虚無感からベーグル(ブラックホール)へ母親を道連れにしようとする。結局、愛憎の混じった究極の反抗期。


「人生の意味」については、意味を考えること自体が無意味だと私は思う。人は「意味という概念を持たない」他の動物と同じく、「どうにかして生きる」目的で生きているだけだと思う。人生は「目的」を見つけ、それをこなしていく連続した営みでしかない。


永遠の時間と命を与えられたらきっと人間は考える肉体と化し、しまいにはそれにも飽きて無となるんじゃなだろうか。あの考える岩というのはすごく抽象的だけども、比喩としては結構平凡でもある。


宇宙に比べたら税金なんてたかが数字で、人間は他人(先人)の決めたルールに雁字搦めになってくだらない時間を過ごしているかもしれないけど、結局生きている以上、対処していくしかない。


そしてどの世界にいても、気持ちを向けてくれた相手に心を開かなければ閉じているのと同じ…。人間は岩と違い、一人では幸せを感じられない生き物。ジョイは本当は幸せに満たされたいからこそ、家族の存在に苦しんでいたんでしょうね。


レミーのおいしいレストランから、2001年宇宙の旅まで、似ているけどちょっと違うパロディ世界や、お尻の穴に優秀賞のトロフィーを突っ込ませるなど(そんなものくそくらえって?)、下ネタもぶっこんで大いに笑わせるけど、移民問題やLGBTQも絡めて、みんな短い人生なんだから認め合って楽しく生きようよ、という暖かな愛に満たされた映画でした。


それにしてもマルチバースはマーベルしかり最近のSFで流行っているけど、このエブエブで一つの集大成なのではと思うね。肉体が行き交うのではなく、精神が行き交うという新しい描き方。


肩車アクションはRRRを彷彿とさせたけど、制作時期的にかぶらないからまさか違うよね。子供の当時インディやグーニーズに夢中になった世代(グーニーズ2の企画は頓挫したらしい)、ヒサビサのキー・ホイ・クァンには感無量でした。

グーニーズ [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • 発売日: 2010/04/21
  • メディア: Blu-ray


 

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NOPE ノープ [SF]

満足度★75点
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■SF、西部劇、都市伝説、エイリアン…ごった煮でも失われないジョーダン節


ジョーダン監督の過去二作に比べるとすこぅしまともな展開だとも感じるけど、物語の終着点がどうなるのかという予測が全くつかなかった点では。
ホラー、エイリアン、西部劇、オカルト…色々な要素をごった煮にしたけど、不穏な空気づくりは相変わらず!

OJや妹が、未知の存在と真っ向対決するわけではなく、UMA の存在を世に知らしめして有名になって一儲けし、牧場を建て直したいとう小市民なのが凄くいい。オプラをネタにするのもチンパンジーの実話と絡んでいるし、時代錯誤な牧場の雰囲気とは違い、妙に現実感があるんだよね。

そこに馬を生け贄にされた復讐も少し加味して。

監督は、過去作を見ても、生物を(人間を含めて)意のままにコントロールできる人間の驕りを、痛烈に批判しているように思う。
ジュープは惨劇を経験しても尚、そのときの栄光を忘れられず、また違う種との相互理解を夢見て、モンスターも飼い慣らせると驕ってしまった人間の象徴ともいえるのではないか。
しかし、今回は彼にも少し哀れみも感じた。

ショーに招待していた同じ番組の子役の女の子には淡い恋心を抱いていたんだろうし、ショーを見せることで自分の力を見てもらいたかったのかもしれない。

UFO自体が生き物で捕食者という発想は、ムー民としては目新しいものではないけど、円盤型にすることで容易く「中の人」を想像してしまう。かなり先入観を利用した騙しのテクニックが入っている。

まーでも今回一番怖かったのはやはり実話の事故を元にしたチンパンジーの描写で、何が元で狂暴化するかわからない動物の恐ろしさをまざまざと感じた。今回は風船が割れた音だけど、そういう瞬間て相手もパニックになり、歯止めが利かないんだろう。私も登山していて野生生物に遭遇したときに、刺激しないよう努めている。

目を見合わせないことがキーワードだったが、自然界では色々。猿は目を見あせてはいけない、熊は目を見たら逸らしてはいけない。
フラッシュに映る馬の目、マスコミのヘルメットに映るエイリアン(?)の目、車のサイドミラーに映るエイリアン、カメラのアングルが絶妙だった。
しかし単細胞よね?このエイリアン。

最後、見交わす兄妹の視線に痺れた。OJの最後の馬にまたがったシルエット、かっこよかったなぁ。
でも一番好きなのは死亡フラグたちまくりのホルスト。手回しのビデオを繰る様が無駄にかっこいい(笑)。
命を懸けたマニア魂を見せてもらった!
引用した聖書の通り、すべてが「見せ物」というキーワードでつながっている。

ちなみにオープンニングでキリンビールを飲んでいるらしいが、気がつかなかった。ジュープから盗んだ馬のオブジェもどことなく麒麟のポーズに似ていなくもない。

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レミニセンス [SF]

満足度★85点
レミニセンス.jpg


■近未来を舞台にした正統派ハードボイルド

メメント、インセプションに続き、記憶は人を幸せにするのか?という問いに、ノーラン(弟)が一つの解へと導く。記憶が人を幸せにするのなら、過去に生きたっていいのではないかと。
今までは過去に囚われることについては、ペシミストの特性であり、発展性がなくあまり良い精神状態のものとは描かれはしなかった。だが記憶が最良の時間を与えるなら、それを選択してもよいのではとこの映画は優しく手を差し伸べる。まさにその状態は、劇中語られる「バッドエンドになる手前の、幸せのまま終わる物語」そのものだ。


だかまあしかし、私だったらワッツの生き方を選ぶ。他人や世界との関わりでどんな出会いが待ち受けているかわからないし、どんなに良い記憶でも飽きると思うから。
装置に入っている間は、それがフェイクであると自己認識できるのだろうか?
認識できるのなら現実に戻った時に虚無感に襲われるかもしれないし、認識できなければ現実との区別がつかなくなり狂いそうで怖い。

サスペンスではあるものの、この映画は紛うことなく愛の映画であり、観客を記憶の謎に置き去りにすることはない。愛する女性の影を追いながらの男の独白、フィルムノワール風の上質な雰囲気に酔いしれられる。特に、他人のメモリーで互いを想うシーンは極上の切なさ。

また、水面が上昇した湿っぽい街の描写は新しい世紀末感を確立したといえるかもしれない。退廃的であるものの、泡沫の夢のように儚く美しい。

しかしレベッカ・ファーガソンは、銀幕上であと何人の男をたぶらかせれば気が済むのか?
少し老けたタンディ・ニュートン姉さんも恋心を抑える渋みのある演技。
そういえば、二人とも過去作でミッション・インポッシブルのヒロインでした。

M:i:III [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: パラマウント
  • 発売日: 2019/04/24
  • メディア: Blu-ray

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アド・アストラ [SF]

満足度★68点

アド・アストラ [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
  • 発売日: 2020/09/04
  • メディア: Blu-ray
■高尚な雰囲気をたたえた内省的な作品
プロットや予告編を見ると本編にはない映像が多々あることから、だいぶ余計な場面を削ぎ落としたのだろう。

主人公ロイの華々しい記者会見や、妻とサージ被害の様子をTVニュースで見ている場面など、日常とのつながりを示唆する場面を削りに削って、宇宙飛行士という一見華やかな職業の孤独感を浮き彫りにした狙いがある。
ロイとクリフォード親子はついぞ理解しあうことはなかったが、とことんまで「理解できないこと」を確かめ合ったのだろう。
それは互いにとって望ましい結末ではなかったのだろうけど、自分の心に決着をつけて前に進むことはできる。

クリフォードが逃げたかった現実とはなんだろう。ロイは本当は他人との関りを欲しているにも関わらず、喪失感を味わいたくないことから、他人の存在という現実から逃避していた。
しかし父親クリフォードは違う。自分の目的が邪魔されることへの恐れ、寿命が尽きようとしているにも関わらず、自分の目的が達成できない事実を直視する恐れ。地球に戻ることは否が応でもその「現実」を直視し、しかも自分の口からそれを世界に告げなければならない。

彼は自分自身から逃げるように、宇宙の闇へ吸い込まれていった。そこには幸せも不幸せもなく、ただ自分の人生に納得できるのか、できないかだけがあるだけだ。

予備知識がないと、ちょいちょい「地球外生命体」の存在を期待してしまう演出が成されている。
その展開を希望する人にはひどく退屈に感じるだろう。

しかし「2001年宇宙の旅」にも匹敵する格式の高さを兼ね備えつつ、随所にサスペンスフルな事件が散りばめられていて緊張感のある作品だった。それでいてロイの宇宙への好奇心や父親への愛情も随所に垣間見れ、切ない気持ちにもなった。
ブラックホールのように内側に吸い込まれていくような感情を解放しようとあがく、ブラットピットの静かな演技が味わい深い。

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パーティで女の子に話しかけるには [SF]

満足度★60点

パーティで女の子に話しかけるには [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: ギャガ
  • 発売日: 2019/09/13
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■異星人がウイルスと捉えると面白い


パンクと異星人の親和性があるのかないのか判別はできないが、80年代のミュージックビデオのような映像手法や怪しげなパントマイムを繰り広げる異星人の動きが、前衛的な演劇をみているようだった。
自分が思った展開とはやや異なりチープさが目立つが、足先で鼻をちょんと触ったり、顔をなめたりと異星人ザンの親愛表現が面白い。

地球を「ウォッチャー」しに訪れて何を彼らがしたかったのかは忘れてしまったが、地球人に干渉しないようにしつつ自分たちはPTというリーダー的存在に共食いされて種をつないでいる様子が、ウイルスが宿主に侵入しつつ共生している様子にも思えて興味深い。
遺伝子の交換を行ったザンとエンから生まれた子供たちは、生物であるという自由を大いに謳歌しているようだった。
生命はどこにでもいけて、意思は運命に縛られない。そこに反体制派のシンボル、パンク・ロックをテーマに選んだ意図が盛り込まれているのかもしれない。

このところ立て続けにエル・ファニングの映画を見た。ダコタ・ファニングの端正な顔立ちと違い、どこか初々しい幼さを秘めるような個性的な顔立ちが、印象に残る。

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レプリカズ [SF]

満足度★60点

レプリカズ [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
  • 発売日: 2020/03/18
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■人間とは?という問いに一つの解

人間は脳のデータさえあれば人間といえるのか?という長年のSFの命題に、一つの解を提示した話だとは思う。
複製した自分の肉体にダウンロードすれば精神の拒否反応は示さないという至極当たり前の帰結ではあるが、生身(自分)以外のボディに固執していた過去作品も多いので、「永遠の命」というテーマへの定番の選択肢にはなりえる。
しかし中盤、科学者の倫理観の葛藤サスペンスから、悪の組織vs科学者というアクションに転じ、その逃亡劇も単純であっさり。
妙に理解力のある奥さんにはイライラしないものの、ご都合主義展開になんだか拍子抜け。

『チャッピー』『アバター』などの主人公は自分の肉体から別の器に意識をインポートしたわけだが、今回は完全な自分の自我が二体に。その二体は脳がリンクしているわけではないのでその時点で他人といえるわけだが、その辺りの見せ場が少ないのでもっと掘り下げてほしかった気もする。
肉体を複製した家族たちが社会的に不在だった時間の描き方など、少し杜撰な点もチラホラ。

チャッピー 4K ULTRA HD & ブルーレイセット [4K ULTRA HD + Blu-ray]

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アバター [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
  • 発売日: 2018/07/04
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TENET テネット ※ネタばれあり考察 [SF]

満足度★80点

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■深い因果性に思考の迷路にはまる中毒性のある作品

待ちに待ったノーランの新作、2回鑑賞。
初回はめくるめく時間の流れに自分が迷子にならないよう、ついて行くのに必死。
だけど予想の範囲だった箇所も多々あるし(マスクの逆行兵士やニールやテネットのボスの正体など)、核となるストーリーの大筋は理解できた。
言い換えれば、話の根幹は既視感のあるSF作品の範疇を超えてはいなかったともいえる。
王道のストーリーだが、時間が戻る様子を可視化したという点で新境地。
手垢にまみれたSFタイムパラドックスものが溢れる中、まったく新しい描き方ができるのかと脱帽。しかし考えてみれば、今までのタイムトラベル・スリップ・リープの時間の飛び方の方がご都合主義だったのではないだろうかとさえ思えてくる。

新作ごとに作品を超えてくるノーラン。難解すぎると批判する前にこんな世界を幾人が可視化できるのかを考えると、商業的にも成功しなければならないし、ものすごい挑戦だったと思う。

また、物理の法則ばかりに囚われると映画の主題が見えなくなってしまう。不思議なもので、思い返せば思い返すほど人物の関係性に因果の業を感じるし、〈名無し〉が〈主役〉に転じたラストのメッセージ性も深みを増す。

ちょっとひっかかるのは、心情を吐露するセリフが説明的なことと、名無しがキャットに一目惚れしたような色気を演出していない割には彼女に固執しているところ。そのバランスは難しいところだったのだろう。

●複雑な逆行世界
話休題。 さて本題の逆行だが、これは今までのタイムリープ系と違って、大いに複雑。なぜなら前出の場合は、現在から過去に瞬間移動するようなもので、戻った時点から時間は順行する。
タイムリープはファミコン時代のスーパーマリオブラザーズ(初期)で例えると、「何度か同じ面を繰り返し失敗したらリセットして、また一からステージをクリアすればいい」ので、リセットをして再びスイッチを入れるまでの時間は、マリオにとって消失してるのと同じだ。
しかし今回は「〈スタートから進むマリオの結果を知る〉マリオ」が、ゴール近くの土管から左スクロールで進んでくるのである。しかもそのマリオは「戻ってくる」わけではない。スタートから進む右・スクロールマリオの動きをトレースしてるわけではなく、自由意志で「進んで」くる。左スクロール・マリオは、何が起きるかわかっているから、右スクロール・マリオのために背後からクッパをフルボッコできるし、現れた瞬時クリボーを踏みつけることもできる。

「ジョジョの奇妙な冒険」の吉良並のチートさかよと思うが、以外と厄介である。
スタンドと違い自分の意志で左スクロールに動く流れは止められないし、タイミングを間違うと振り向いたクッパに反撃される危険性もある。しかもエントロピーの法則でエネルギーは反対側に向かうから、クッパの炎は氷に変わる。吸おうとしても酸素は逃げていくから酸素マスクが必要だ。
そしてマリオ同士がぶつかると2体ともジ・エンドになるんだよ、と物理の法則とやらが決めてるし、永遠に逆方向へ進んでも仕方ないので、左スクロール・マリオはどこかの土管に入り右スクロール世界へ戻るか、ひっそりと崖から飛び降りるしかない。

要するに横スクロールが〈時間〉なら、ステージは〈空間〉。同じ空間に違う流れで進むマリオが2体いるのである。この例え、なんかややこしくなってきた。

ちなみに鑑賞を進めると忘れてしまいそうになるが、逆行するのは人だけではなく物質も。
バーバラが序章で説明したように、使い手が「撃つ」「持つ」という意思を持ってから対象に及ぼす一連運動が終わるまで。
なので、観客はその画(え)が「順行世界で〈逆行している物質〉を見ている」のか、それとも「逆行世界で〈順行世界を見ている〉人間の視点」なのか、よくよく気を引き締めなければならない。
監督も最初から理解してもらうことを放棄してなのか、バーバラに「理解しないで、感じて」と言わしめてるのが少し情けない。正解はノーランの頭の中だけだが、疑問に対しての考察を進める。

●アルゴリズムとは。未来はいつなのか

テネットの戦う相手は姿が見えない未来人。未来のある科学者は、環境破壊による滅亡から人類を救うため地球丸ごと時間が逆行する装置を作ったが、全てが逆行すると先祖たちが滅亡してしまう=未来の自分たちも死ぬ(祖父殺しのパラドックス)理論に絶望して、そのアルゴリズムを9つに分解して過去に隠し、自殺する。
しかし今そこにある危機に瀕している未来人たちは、結果はどうであれ、アルゴリズムを起動させたいと考える。
そこでセイターを利用しアルゴリズムを集めさせてるわけだが、未来から逆行武器や報酬の金を届けてることを考えると、逆行中の時も等しく流れている故に経年劣化してしまうので、それほど遠くない未来だと思われる。

テネット側も未来からエントロピーが反対の物質を利用しており、先祖に味方する未来人もいることが明かされる。プリヤやニールは、〈記録〉があるからだというが、ではその記録の起点はどこか。
起こったことを知っている名無しが記録し、テネットを形成したのは間違いない。
テネット部隊を結成したのは名無しだが、遠くない未来で結成され逆行してきたと思われる。
しかし、あんなに大勢が逆行してくるのは無理があるので、その〈記録〉はニールが持って逆行し、冒頭での名無しに行った〈テスト〉を行って、ある程度の規模は現代で構成した可能性もある。

また、未来人がセイターを操ったように、現代へ色々届けていたのは名無しと逆行→順行に転じたキャットなのかもしれない。
話は変わるが、アルゴリズムというと『虐殺器官』をつい思い出してしまう。アルゴリズムが物質そのものとも、式そのものとも判別できないところがまた、興味を掻き立てる。

●未来人が逆行してアルゴリズムを探さないわけ
科学者が逆行しながらアルゴリズムを隠したのか、逆行から順行に転じてからアルゴリズムを隠したのかが判然としない。しかし前者だとすれば〈そもそも起動したら逆行のエネルギーを世界に与えるアルゴリズム〉に、〈更に逆行のエネルギー〉が付加されたことになり順行になってしまうため、後者だと思われる。
しかし等しく時は流れるため、未来人が科学者を後追いしても科学者の死は止められない。よしんば隠し場所が判明しても自分たちが滅ぼしたい過去にいる時点で巻き添えを食う。未来人の犠牲は出さずに、祖先のことは祖先にやらせているということだろう。しかし、セイターの忠実な僕は実は忠誠心のある未来人で、お目付け役兼補佐なのかもしれない。名無しを助けるニールが命がけで逆行したように。

●果たして彼らはタイムループから抜け出せたのか?「俺が主役だ」のセリフの意味とは

ラスト、ニールは「過去を作りにいく」と言う。名無しを助けるために死ににいくわけであるが(胸熱)、順行世界ではまだ幼いニール=マキシム坊ちゃんが成長して、〈テネットのボス〉になった名無しに命じられ、逆行するという行程を踏まないといけない。
ということは、結果が先にあってそれを元に動くという〈卵か先か、鶏が先か〉問題が解決していないように思える。
ニールはまた、「起きたことは取り消せない」とも言った。この時間軸ではテネットが成功し順行世界は無事だから、成功するように動かなければならない。そうなると、やはり結果ありきのループに思える。
しかし起きたことが取り消せないのであれば、セイターの死は確実だし、アルゴリズムも分解できたので、後で名無しが操るはずの武器商人プリヤを殺すことによってループを壊し、そこから先は新しい未来=パラレルワールドに突入したともいえる。
となれば、〈主役〉には「フィクサーは俺だった」という意味と、「これから予測不可能な未来を自分の意志で生きる決意」の意味の二通りを感じることができる。まさに時に翻弄されるだけの「名無し」から〈人生の主役〉に転じた瞬間だ。ニールが言ったように、未来は誰にもわからないのだから。

●ニールの正体、逆行キャットのその後は


動機を考えると、ニールはキャットの息子マキシムで間違いないだろう。名無しが回転扉をくぐったあとに外へでようとすると無茶だと止められるシーンがあるので、いかに逆行世界が危険なのかをわかっているニールは、回転扉を通った後はひたすらモグラのように籠もっていたに違いない。逆行中も遡った分だけ歳はとるので、30代に見える彼は、その青年期を逆行のために捧げたと言える。
こんな過酷なことを名無し男が命じるとは思えず、セイターから逃れたキャット母さんが名無しへ感謝する姿を見て育ったマキシム坊ちゃんが、自分から志願したのではないだろうか。
ここで疑問、作戦が成功した後の順行キャットはどうなったのだろうか。作戦が成功した以上、元々の順行キャットはセイターに脅かされないわけだが、ラストシーンで登場するキャットは全てを知っている逆行キャットであった。時間をスキップすることはできないので、逆行キャットはそのまま流れるときに身を任せねばならないはずだ。とするともう一人の無垢な順行キャットはどこへ?

ループするのであれば、順行キャットが順行セイターに撃たれて…という時間がくるまで自分に会わないよう慎重に行動して、その後の人生を謳歌すればいいが、ループが壊れたと仮定すると同じ人間2人が存在し続けることになる。これは名無しにも言えることで、一つの疑問である。

こうして考えてみると自説に反証する自分もいて、思考の∞ループにはまってしまう。まさに中毒性のある作品だ。ループしない希望のある話だと思いたい自分もいるし、ループしてアルゴリズムを阻止し続ける悲劇を想像してしまう自分もいる。難解という負のエネルギーを転換すると、登場人物の視点を変え何度でも鑑賞しても楽しめる超娯楽作品と言い替えることができる。
青のロゴマークを見たら最後、観客は劇場に逆行したくなるに違いない。

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