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アンネの日記 [戦争ドラマ・戦争アクション]

満足度80

アンネの日記 [DVD]

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図書館で何者かによる破損が話題になっていた「アンネの日記」ですが、最近映画を見たばかりなのでドキッとしました。
映画自体は素晴らしいものですが、原作には創作疑惑がたくさんあるのですね。
物事の真偽というのは、噓をつく人間に何かメリットがあるのか、という点が判断の一つだと思うのですが、その推測に基づくと創作を依頼されことを明かしたアメリカの作家には、噓をつく理由がないようにも思われます。
アメリカは親ユダヤ派ですし、「アンネ」はナチの非道さを訴えかけるかっこうの教材であるため、わざわざ「創作物」であると表明することで被る批判や圧力の方が高い気がするのです。
ということは、アンネの評判が高まるにつれ、真実を表明した方がいいと判断した、と受け取る方が自然です。
ただ、あまり深く調べていないので、作家の売名行為の可能性もあるのかもしれませんが。

と書いたからといって、今回のことに結びつける気もありませんし、ユダヤ人への迫害が無かったと言いたいわけでもありません。
ただ、「南京事件での数字は誇張されている」という説に日本国内では同調性が高いものの、世界では無視される事を考えると、ホロコーストでも同様のケースかもしれず、強調されている死者数などは一考の余地があるのかもしれません。何でも盲目的に信ずることの危険性を考えてしまいます。

話は本題に戻りますが、暗く悲劇性を誇張した描写が全編を覆っていると勝手に想像していたので、登場人物がいたく凡庸で生き生きと活写されていることに驚きました。
特にアンネは我が儘で無遠慮でファザコンで母親につらく当たってばかりいて、とても同情心を喚起させるような子供ではない。
同様にアンネ一家の厚意で隠れ家に同居している一家も、強欲で拝金主義の気があり、尊敬できる人々ではない。
しかし清廉潔白な人物ではないからこそ、より私たちと「何ら変わらない」普通の身近な存在として感じられたのだと思う。
ただなすすべも無く隠し扉が蹴破られるまで呆然と立ち尽くす姿に、得体のしれない「人間の総意」による恐怖というものをつくづく感じました。
「それでも私は、人間というものは善い存在であるはずだと信じているのです」という最後の一文に、これが少女の言葉なのかと、目を開かされる思いで胸がいっぱいになります。
たとえ創作だとしても、「アンネ」が心を揺さぶるのは、誰でもそう願わずにはいられないからだろうと思うのです。
作者の意識や希望や願望がそうさせたのかもしれないし、そして作者に影響を与えたのは人間の善意そのものかもしれません。
ナチ党があれほど国民の支持を得たのは、驚異の低失業率、8時間労働の生活モデル、禁煙の奨励、娯楽施設の建設などなど、建設的な政治を行ったからだという。
そしてユダヤ政策に頭を悩ませていたのはドイツだけではなく、ナチの思想は北欧にまでシンパを作るに至った。
今でも多くのEU圏は移民に悩まされ、押しつけあっている。
移民問題が領土問題に直結する世界は複雑で難しい。
しかしどんな悲劇にも原因や引き金があることを考えさせられる作品は重要ですね。
二年間も隠遁生活を強いられてるのになお、空を見上げて将来の夢を生き生きと語る少女の、今までの時間とこれからの時間のことを考えると本当に不毛です。
世界中で死んでいった若者全てに言えることですよね。

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