ヴァージン・スーサイズ [青春・恋愛・コメディ]
★満足度65点
■自己陶酔による軽やかな死
少女時代の独特の世界。
ちょっとした秘密めいた行動などが、凄い背徳感のある冒険をしているように感じたり。
揺らぎというのかな、本当にちょっとしたことで怒ったり落ち込んだり、うかれたり。
自分は他の同年代より大人だという思い上がり。
特に厳格で保守的な母にコントロールされた姉妹の閉塞感は手に取るようにわかる。
それにしても瑞々しくて端正な顔立ちの4姉妹に対比して、語り手となる男子グループの配役の不細工なこと。
女の子の成長のほうが早いのは万国共通、しょうがないのだけど。
彼らに、(先に死んだ子は省いて)4姉妹の爪の垢ほどの詩情をくみ取れる感性があったなら、彼女らはあれほど絶望しなかったかもしれない。
絶望とはいうものの、現実社会で大人が直面するような絶望ではなく、なんというかもうちょっと「世の中が色あせた」に近いかも。
一度エッチしたら興ざめしちゃう男子に、甘い恋の持続を夢見たラックスは、失恋に傷ついたわけではなく、男というもののつまらなさにがっかりしたのではないだろうか。
衝動的に能動的に死を選んだ4姉妹。
(先に死んだセシリアの死だけは、劣等感による未来への恐怖で、異種だと思う)
そしてあの田舎という環境で、自分たちはラプンツエルよろしく「塔に閉じ込められたお姫様」であり、現実には王子がいないことを知った悲劇のヒロインであり、また、現実を見たくないだけの我が儘で平凡な少女なのである。
一種のナルシズムでつながった4姉妹は永遠に自分たちの世界で生きることを望んだ。
その淡い泡のような彼女たちの世界を、幻想的に甘酸っぱく描いたさまは、まさに女子目線の青春。
絶世の美人というわけではなく、田舎で多少チヤホヤされていただけの彼女たちは、死ぬことによって小さな小さな世界の「伝説の美人姉妹」になった。それを本能的に知っている、女という生き物は怖い。
>>俳優メモ
【ローズ家の戦争】や【私がウォシャウスキー】で一時期は映画界を賑わしたキャスリン・ターナーが、びっくりするほど腰骨がでっかい中年太りのおばさんに。
また、姉妹に甘く優しい父親にジェームズ・ウッズ。いつも嫌な役や堅い役ばかりなので、今回は対照的な役。
姉妹を羨望のまなざしで見つめる取り巻きの男子の一人に、あのSWでアナキンをやったヘイデン・クリステンセン。
まだこのときはガリ細でハンサムさのかけらもない。
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