インビクタス 負けざるものたち [スポーツ]
満足度★65点
私はこの映画の前に、ニュージーランドのラガーマンで英雄、ジョナ・ロムーが難病に冒され、死ぬ前にライバルたちを訪ね歩くドキュメンタリーを見た。南アで戦ったW杯のことは、彼らのなかで燦然と輝く素晴らしい思い出となっていて、彼らは時間も国も超えて、かたい友情で結ばれていた。
その歴史的W杯の追体験ができるこの映画は、南アフリカのネルソン・マンデラと、「ボクス」主将の固い絆と友情の物語。
27年の投獄生活から解放されたマンデラは、国を一つにするためには、自国開催のラグビーW杯での優勝が必要だと考える。
ラグビー代表チーム、愛称「スプリングボクス」は白人が多く占め、アパルトヘイトの象徴として黒人には不人気だった。
だがマンデラはボクスに貧困層の少年らへラグビー指導を課すなど様々な取組をしてその溝を埋めていく。
南アの状態は、マンデラ死後、再び悪化してしまったと聞く。
願わくばこの時この思いを共有した者たちが、少しでもその時の感動を後世に伝えていって欲しいと願う。
国を誇りに思った瞬間は、何度でも何度でも思い出せるはず。
スポーツは「人間はここまで努力できるという証明の手段」なのだ、と私は思う。
観客は選手に自分では叶えられない夢をみて、選手は過酷な練習と引き換えに、個人の栄誉や名誉と国民という仲間との一体感を味わう。
イーストウッドはどちらに荷担するでもない距離感で、淡々といってもいい熱量で物語を紡ぐ。
憎しみの歴史を掘り下げ過ぎず、和解と赦しの過程を描くには、どちらかに偏らない方がいいのだろう。
モーガン・フリーマンの口からこぼれるマンデラの言葉は名言のオンパレードなので、見るに値する。
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