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アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル [スポーツ]

満足度★85点

アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル[Blu-ray]

アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル[Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • メディア: Blu-ray
■超不運な女性
あくまでフィクションなので鵜呑みにするわけにはいかないが、多少の誇張はあったとしても、母親についてはおおむね事実のようだ。
リレハンメル冬季五輪での靴ひも事件は、記憶にしっかり刻み込まれている。まさか、そのときは彼女にこんな波瀾万丈な生い立ちがあったとは思いもしなかった。

それにしてもこの毒親。過干渉でDV激しく、才能ある子供を自分が産んだことの誇らしさと子供に対しての妬みという相反したものも感じたが、絶対に優しくなどしてやるものかという徹底的な攻撃性でトーニャを支配下に置こうとする。
彼女が自己弁護ばかりするようになってしまったのは間違いなくこの母親の影響。

誰からも援護してもらえない人間は、自分で自分を弁護するしかない。自分しか味方がいないのだから。

それに加え、彼女の周りもろくでもない人間しかいない。最初は優しかった夫も暴力を振るうようになり、虚言癖のある夫の友人も彼女の足を引っ張るばかり。そういう人間ばかり引いてしまうのは彼女自身の性格ゆえでもあるが、そのように成長してしまったのは、やっぱり母親のせいだと思わざるをえない。

そして彼女のスケートスタイルがスケート界にそぐわなかったという、スポーツ界ではよくある悲劇も彼女の攻撃性に拍車をかける。芸術を競う競技によくあるのだが、彼女のスケーティングがいわゆる審査員が好きな伝統や流行にそぐわないというのである。どれだけジャンプしようと技術が優れていようと、選択する衣装や音楽が芸術的ではないと言われてしまうのだ。

アーティスティックスイミングなどでもしばしば起こる問題だが、例えば日本チームが和のスタイルを前面に押し出すと芸術点が低くなる傾向にあると感じる。発祥である西洋の伝統にそぐわないというのだろう。トーニャのいう通り、それは個性を失くせ、と言われていることに等しい。
この映画はそういうスポーツ界の問題点も浮き彫りにしている。

トーニャがケリー襲撃の首謀者なのかどうかは、関係者の証言が食い違うので闇の中だが、彼女のスケートへの強い思いだけは本物で、並大抵のものではない。あのスキャンダルの中、よく五輪の場に立てたと感心してしまう。
この強靭な意思も母親譲りなのだと思うと、ちょっと複雑な思いもするのだが、子供時代にのびのびと育てられれば、きちんとメインストリームで成功できた人なのかもしれないと思うと、やはり可哀そうでならない。


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