SSブログ

コーダ あいのうた [ヒューマンドラマ]

満足度★80点

コーダ.jpg

■彼らの世界へ導く演出に、はっとさせられる

あの無音の演出がなければ、この映画がそこまで高い評価を得なかったのでないだろうか。

私たちが外側からみていた彼らの世界へ、観客を一気に連れて行った。
ルビーの人生のハイライトであり、観客が一番観たいと思う映画のハイライト。
その大切な大切な瞬間を、共有できない家族。
その立場を、少しでも観客が理解できたら。あの大胆さには、そういう創り手の思いが感じられた。


自分の娘が耳が不自由であってほしかったという、閉鎖的な性根の母親・ジャッキー。
家族に頼られたいもどかしさを妹にぶつける兄・レオ。
快活な性格な割に、現状打破に重い腰の父・フランク。
そして自分の意気地なさを、家族がいるからと言い訳にする娘・ルビー。

しかし健常者も不自由な人も関係なく、自分の殻を破る勇気があれば、少し違う新しい日々を送れるかもしれない。
そんな風に背中を押してくれる映画だった。

現実には、こんなにお綺麗なことばかりではないかもしれない。
身体障害者を取り巻く環境は、もっと厳しいかもしれない。
でも、結局自分を幸せにするのは自分自身なんですよね。
最後のステージで手話を交えながら歌い上げる場面は、ルビーが本当に気持ちを伝えたい相手は誰だったのかよく伝わり、涙無くしてはみられませんでした。

興味深かったのは、前述したジャッキーのセリフで、自分の娘が健常者だとわかったときに落胆したというところ。「わかりあえないかもしれない」と不安になったの弁の裏に、自分が娘を妬むのではないか?という杞憂を垣間見た。
そこで気が付いたのは、私たちは彼らのことを勝手に「社会的弱者だから人の弱さに寛大で、優しい人々」と勝手にカテゴライズしていないだろうかということ。特に映画の中では。そういって一括りにすることで、現実社会において彼らを息苦しくさせているかもしれない。

少し物足りなかったのは少人数だけで話が完結してしまい、ルビーを取り巻く学校の世界が少し小さすぎて見えたこと。同じ音楽クラスの子たちがルビーの歌唱力をどう評価しているのかなど、少し絡みが欲しかった。


ちなみにリメイク元のフランス映画はこちら。

エール! [Blu-ray]

エール! [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: アルバトロス
  • 発売日: 2016/04/28
  • メディア: Blu-ray

nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:映画

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。