ワイルド・スピード [アクション・アドベンチャー]
ワイルド・スピード (4K ULTRA HD + Blu-rayセット)[4K ULTRA HD + Blu-ray]
- 出版社/メーカー: NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
- メディア: Blu-ray
長寿シリーズなので気になっていたので今更ですが鑑賞。なんだこんなものかと。
アメリカで半グレよりもたちの悪いストリートギャングが跋扈しているのはありとして、トラック運搬業者がみずから武装して、それを強盗集団とカーチェイス。西部劇じゃないんだから。どこの無法地帯?少しは警察も動くでしょう。
結局はドミニクが強盗集団だったことにがっかり。
黒幕は他にいて、ブライアンと共闘して星をあげる、という王道のほうがすっきりする。
心の傷を埋めるためにカーレースに没頭するのはロマンとして、強盗もやるのは中途半端な印象。悪はぶっちぎりの悪の方が魅力的。恋人をおいてメキシコにとんずらしたようなラストにも、もやもやとした気持ちが残りました。
ヴィン・ディーゼルは【ピッチ・ブラック】など良質なバイオレンスSFで注目されたのに、これに出演してB級なイメージになってしまった。少なくとも私の中では。 ミシェル・ロドリゲスは相変わらず男勝りで魅力的。本人がバイセクシャルなので姉御オーラがより強まるのでしょうか、同性からみてもかっこいい。
トランスフォーマー「ダークサイド・オブ・ザ・ムーン」「ロスト・エイジ」 [アクション・アドベンチャー]
■トランスフォーマー ダークサイド・オブ・ザ・ムーン
満足度★50点
トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray]
- 出版社/メーカー: パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
- メディア: Blu-ray
サムがしがない就活生になっているのは現実的でいいとして、ホワイトハウスにいるような女性が新恋人になるかよと早々に突っ込み。
1969年、アポロ11号の人類初の月面到達の裏側に、月の裏側に墜落したサイバトロン星の宇宙船の調査が隠されたいた―というオープニングに期待値が上がったが、いかんせんオートボットの伝説の騎士センチネル・プライムが目覚めて以降はただただ長く、慢性化したロボット同士の戦いにはメリハリがなく非常に飽きた。
画面が非常に騒々しく、オートボットとディセプティコンらが区別しにくい。
辛うじてバンブルビーとオプティマス、そしてセンチネルとメガトロンは顔のアップになることも多いのでわかるが、もう少し色分けして欲しいくらいだ。
ディセプティコンの陰謀は、金属生命体の母星「サイパトロン」をデータ転送で再興させるとためにセンチネルが必要だったというくだりは捻りがあるし、センチネルの裏切りに肉迫するサム、オートボットが人類との決別を偽装するなど脚本に起承転結があるものの、決定的な作戦も無いまま右往左往する人間兵士らの喧噪と、見分けのつかないロボット大戦で台無し。かっこよかったのはオプティマスのとどめの台詞「あなたはあなた自身を裏切った」くらい。
B級テイストのコメディ部分にも辟易。サムの両親、サムの上司(のジョン・マルコビッチの快演)、サムの同僚の不愉快な変質者演技、全部過剰なんだよね。
この映画からしてシャイア・ラブーフのインテリ顔に合わないんだよなぁ。これ以降降板して正解。
■トランスフォーマー ロスト・エイジ
満足度★45点
トランスフォーマー/ロストエイジ ブルーレイ+DVDセット(3枚組) [Blu-ray]
- 出版社/メーカー: パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
- メディア: Blu-ray
いかにもメリケン野郎という風貌のマーク・ウォールバーグにバトンタッチ。
マーク演じるケイド一家を助けに来たのが、シャイア演じるサムだったらもっと面白かったのに。
サムは北極の化石を調べにバンブルビーと赴き、ケイドはシカゴでオプティマスらと共闘…というWヒーローで興奮したかも。
というか、副題の「絶滅の時代」。せっかく「北極で恐竜型金属生命体が発見された」という前振りが終盤まで生かされなかった。KSIに報告にきた女性科学者、報告をジョイスに遮られた後はただの「その他大勢」に。ジョイスに「検討祈る」と言ってさっさと退場。あんたは一体どこへ消えた。
ケイドの友人が立ったまま殺害されてしまった辺りまでは勢いがあったが、相変わらず長いんだよねぇ、この映画。中盤から後半が前回と全く同じようにただ騒々しいだけ。どうして縮められ無いかね。せっかくなら、変形シーンをもっと勿体ぶってスローで見せて欲しい。
人間がトランスフォーマーの科学を軍事利用する展開は自明の理だが、それによってディセプティコンが復活してしまうリスクは回避するのが当然じゃないのか。頭が悪いにもほどがある。
第三の勢力、ロックダウンの立ち位置ももうちょっと明確にしたほうがいいのではないか。
「創造主」からオプティマスを連れて帰るよう命じられて地球に飛来したというくだりがわかりずらい。
そしてシカゴの建造物を吸い上げて落とすという、非効率な攻撃場面は本当に不要。
一騎打ちの際にケイドはサムよりも肉弾戦で役に立ったように見えるし、まあ共闘してなんとかオプティマスが勝ちました。オートボットに「俺の留守の間は地球を頼む」と言い残し、創造主に会いに行って、続編はどうなることやら。(はアンソニー・ホプキンスが最低助演男優賞じゃなかった?)
そもそも金属生命体のエネルギーが地球で補充されるわけじゃないのなら、もうオートボットは地球を離れてもいいのではと本気で思ってきた。
ちょっとした発見ですが、「エージェント・オブ・シールズ」に登場していたタイタス・ウェリヴァーがドラマとは違うタフガイを演じていて、雰囲気が全く違うので驚いた。
[イッキ見! ]戦え! 超ロボット生命体トランスフォーマー&2010 ダブル Blu-ray SET〈期間限定生産〉
- 出版社/メーカー: NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
- メディア: Blu-ray
その女諜報員アレックス [アクション・アドベンチャー]
https://www.amazon.co.jp/%E3%81%9D%E3%81%AE%E5%A5%B3%E8%AB%9C%E5%A0%B1%E5%93%A1%E3%82%A2%E3%83%AC%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9-Blu-ray-%E3%82%AA%E3%83%AB%E3%82%AC%E3%83%BB%E3%82%AD%E3%83%A5%E3%83%AA%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%82%B3/dp/B01I4FYE9K
■映像は一級だが話がB級
伝説の諜報員というわりには爪が甘い。USBを不用意に繋げる、ノックアウトしたと思った男に何度も襲われる。
ベラベラ喋りすぎの適役も好きじゃない。
アレックスの元恋人フラーがUSBを取引しようとしていた相手、突然出てきた飛行機内の仲間など、少し話が分かりづらい。
議員の計画を知り、金になるから揺すろうと思ったのはBACで、実は議員の側近だったということでいいのかな。そもそもフラーが何者かも分かりづらい。きっとアレックスと同じようにはぐれ諜報員で、銀行強盗として雇った二人はチンピラなのだと思うんだけど、大した話でもないのに推測する要素が多すぎる。
映像やカット、アクションはなかなか良い。オルガちゃんは可愛いと美しいの中間でとても魅力的。
3.11のテロは自作自演だったという設定で陰謀が画策されるのだが、本国でも自作自演だったという説が一般的になっているのだろうか。そちらの方に興味がいった。
ジョジョの奇妙な冒険 第一章 [アクション・アドベンチャー]
https://warnerbros.co.jp/movie/jojo/introduction.html
「えっ、この人帽子被ったまま寝ちゃったの?」っていう(笑)
第四部は割りとサスペンスなんだからさ、せっかく不穏な空気を醸し出してるんだからさ、コスプレで台無しにしないでいいよ。
古代ローマの戦闘服のようにうまく中和して、現実に親和性をもたせてる。
変な間が多い、テンポが悪い、かと思えば場面が急に飛ぶ、顔のアップばかり目立つ。
日本だから第四部を選んだという割には、お墓や葬式は日本のそれではない。
余談だが、なぜ小説の映像化は成功して漫画の映像化は成功しにくいのか。
小説は行間を読むというようにまさに読み手に委ねられている部分が大きいのと、台詞などは練りに練られて書かれていることが前提で、余計な物はそぎ落とされている傾向にある。
だが漫画は、決められた連載のページ数を埋めるべく、余白を台詞でつなげるため余計な台詞や間が多い。
その取捨選択、もしくは作品の意に沿った書き換えに失敗しているケースが多いように思うのだ。
今回も、名前を知らないはずのジョジョが「形兆」と呼ばわるシーンもあり、原作のエッセンスを咀嚼する前に、こんなぽかミスをするようでは続編が思いやられる。
イコライザー [アクション・アドベンチャー]
■殺しのDIY
「トレーニング・デイ」「極大射程」の監督が、またも良作を生み出した。 渋い、ひたすら渋い。
映像も美しければ、無駄がなく過剰じゃないアクション、侘び寂びという言葉がぴったり。
まるで己の存在を証明するかのような、 ダイナーでの読書前のルーティン。本やナプキンの置き位置、座り方一つ、全てが整っていることが「違和感」を察知するための儀式のよう。
この読書の意味が途中明かされるのだが、彼が背負った業とくびきが垣間見え、唸ってしまう。
私たちが別世界と考えている暴力の世界は、実は普通の場所に存在し、様々な要因があってすれ違っているだけで、少しのきっかけで接触できてしまう。 そして濃い夕闇のようにしみ出てくるマフィアのような存在は、払っても払っても至る場所からわき出してくる。
現実社会でもストーカーや家庭内暴力など、法で対処しきれずに被害者が泣き寝入りする事件はごまんとあって、本当にマッコールのような男がいればなぁと切望してしまう。
マフィアとの真っ向勝負になると腹を決めた彼が、かつての上司に会いに行くシーン。加勢や武器を求めるのではなく、殲滅させる「許可」を求めただけだったってところに痺れた (笑)。
しかも本国ロシアから送られてきた殺し屋相手に、自分のシマでもあるホームセンターでちょこちょこ武器をDIYしながら戦うのである(笑)。それがマッコールの足がつかないことにもなるのだが。
テリーが陽の当たる場所へ向かうのを見届けた後、マッコールには読書のほかにルーティンが増えた。 影で泣いている被害者のために、生きる道を選んだのだ。
今年はトム・クルーズの良作「アウトロー」 の続編も公開されるし、このイコライザーも続編が作られるという。
「世界」はアメコミヒーローを求めるのだろうが、「世間」はひっそり戦う仕置人を欲している。
本当に続編が楽しみ。
300 帝国の進撃 [アクション・アドベンチャー]
300 <スリーハンドレッド> 1&2 ブルーレイ ツインパック(初回数量限定生産/2枚組/デジタルコピー付) [Blu-ray]
- 出版社/メーカー: ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
- メディア: Blu-ray
■「アイ・アム・スパルタ」の裏で繰り広げられられていたもう一つの戦い
あの革命的筋肉映画【300】の、続編というより同じ時系列での別の闘いを描いたCDのB面のような作品。
スパルタの精鋭たちは力尽きたが、エーゲ海ではギリシャ連合軍とペルシア帝国との戦いが行われていた。
今回の主役はアテナイの将軍、テミストクレス。
実はこの人が放った一本の矢が、スパルタやギリ シャを滅ぼしかねない、エーゲ海を揺るがすサラミス海戦のきっかけだった。
前ペルシア王の命を奪ったことで、クセルクセスは狂気に堕ちる。それを操る女傑アルテミシア。
怪しい魅力をぷんぷん振りまく彼女、実はギリシャ出身で自分を奴隷に貶めた祖国を恨んでい た。
物語はこの女傑アルテミシアと、テミストクレスとの頭脳戦と肉弾戦を軸に描かれる。
スローから急に倍速になる緩急をつけたかっこいいとしか言いようの無いアクションは健在。
重力を無視した動きをするも、きちんと武具の重みも感じるという凄技。
最近はこの手法も、様々なアクション映画で取り入れられているので見慣れてしまった感覚はあるけれど、300ら当時のグラフィックノベルの映画がこのスタイルを確立したと思う。
好みがわかれそうな、無駄に脳天かち割り血飛沫ビチャー!系ですが、当時はその斬新な描写に、コーラとペプシを混ぜたようなかっとんだ興奮を覚えたものだ。
今回は海戦が主なので、剣技を凝らした戦いはあまりないけれど、その代わり船から船へ飛び移るダイナミックさ、船上の戦士らからググッと下がって船内の漕ぎ手の必至の形相へカメラがパンするなど、ジェットコースターのような上下の動きを感じられ目まぐるしく目が離せない。
馬が甲板を跳躍するその美しさは、最早アート。
アルテミシアに月の女神アルテミスを重ねたのか、暗闇に浮かぶ異様な大きさの月も、美しく妖しくペルシャの異様な恐ろしさを誇張する。
あと特筆すべきは、笑ってしまうほどの激しいSEX(という名の戦い)のエヴァ・グリーンのおっぱいポロリ。
この方、脱ぎっプリがよいです ね。やはりフランス人ですね。
エヴァ扮するアルテミシア、史実では現在のトルコの南西部にあった「ハリカルナッソス」の女王だったんですね。
戦士としても有能で、ペルシア軍についていたけれどサラミス海戦には反対していて、クセルクセスもいったんはこの方の助言を聞き入れたといいます。
しかしクセルクセスの側近から疎まれていたアルテミシアの意見は黙殺され、彼女の危惧するとおりに戦局は進んでしまい、もはやこれまでと思った彼女は機を見て、ペルシャの一艘にどてっぱらに穴をあけて退散したという。
映画ではすべてが正反対に描かれ、アルテミシアは実際の彼女が受けた仕打ちの腹いせとばかり に、クセルクセスの側近を悉く失脚させ、首をはね、クセルクセスを意のままに操る(ちなみにペルシャの提督の一艘に突っ込んだのもアテナイ軍)。テミストクレスと絡ませた方が、映画的には面白いと思ったのだろう。
結局、そのあとの性交渉(この言葉ドンピシャすぎて笑える)はけっこう名場面になったのだから、この脚本は成功したといえるだろう。
ちなみに、アルテミシアに食われ気味の主役テミストクレスは、史実ではその強欲さと力を恐れら れ、アテナイから陶辺追放(国外追放)のあとペルシャに逃れる(笑) (結局その後、アテナイへ弓引くことを厭い、自死するが)
なんにせよ、前作から引き続き、王妃ゴルゴ役にレナ・へディ、クセルクセスに ロドリゴ・サントロ、スパルタの精鋭、アイスキュロス役にハンス・マシスンら同じ俳優がサブキャラを演 じてるのは嬉しい。
しかしロドリゴ、この体型とメイクをするのは大変だったろうになぁ…
スパルタ王亡き後、ゴルゴ王妃が颯爽と登場してアテナイを救うラストもかっこいい。
テミストクレス役のサリバン・ステイプルトンは、「LAギャングストーリー」を観たはずですが記憶に無い・・・実際この映画で初見の印象。
スパルタ王を演じたジェラルド・バトラーより細くて終始裸でいるのが寒そうに思えてしまうのですが、アテナイの頭脳派の役どころだからこのくらいでいいのかも。
ミッション・イン・ポッシブル/ローグ・ネイション [アクション・アドベンチャー]
シリーズ最高傑作と言われているが、前作の【ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル】の方が、個人的に好み。
前作の方がスパイグッズが満載で、クレムリン潜入時の空間偽造システム(?)、ブリジュハリファの手袋など、ワクワクするギミックが沢山登場したし、冒頭のIMFの仲間ハナウェイの死や(そういえば、その時に使用したホイホイカプセルみたいなクッションもよかった)、実はハントとその妻を見張っていたというIMFのブレントの登場など、ドラマチックな要素がふんだんにあった。
敵が完全なアウェーの人間というのも、先が読めなくて面白かったかかも。
とはいえ、今回がつまらなかった訳ではない。
敵か味方かわからない女性スパイ・イルサとの複雑な攻防戦と、男女の性を越えたスパイ同士の「同志愛」と「職業にかける情熱」を逆手に取られ苦境に落ちる様には、ボンドとボンドガールには感じられない悲哀があった。
そしてIMFが解体されてもなお、すこーし頼もしくなったベンジーと、お馴染みルーサーらがハントを思う友情の話でもある。
しかしまさか冒頭で、あのスタント無しで話題の飛行機しがみつきアクションが登場するとはね。
勿体ないというか、贅沢。
ド派手なアクションは冒頭に持ってきて、全体を通せば肉弾戦が主だった。
まるまるイルサが主役の立ち回りもあり、今回は本当に彼女とハントの物語。
シリーズ通して、一般人の犠牲が一番少なかったんじゃない?(笑)
渋めがお好みの人にはいいかもしれない。特にラストの意趣返しは最高。
「俺たちがIMFだ」という台詞には身震いしたな。
まあ結局黒幕のシンジゲートが、MI6長官の独断による組織だったが彼の手を離れ暴走したというよくありそうな話で、それを知らずに女エージェントはMI6長官にいいように使われていたってよくある話。
これ実際にあったらイギリスの立場、外交的にヤバくない?(笑)
しかしよく世相を捉えているというか、撮影時には起きていなかったけど、最近現実に起きた事件が劇中に登場するとヒヤッとするわ。旅客機不明というのはマレーシアの事件とニアミスかもしれないけれど、化学工場を大爆発させたというシンジゲートの所業にはタイミングがよすぎて驚くね。資金提供したアリババグループ(中国)も真っ青じゃない?
日本の爆発騒ぎも、皆がのんびりしてるから大事(おおごと)になってないけど、本当は安保理可決させたいアメリカが、「日本もこんなにあぶないぜ」という自作自演かと当初は思った。陰謀論に偏りすぎか(笑)
ちょっと残念だったのは、折角ジェレミー・レナーが出てるのに、彼のアクションが殆どなかったこと!
アクションよりIMFの顔として重要なポジションではあったけれど。
でもまあ、5作目なのにこの面白さを保つのは凄いことだと思う。
ルーシー [アクション・アドベンチャー]
満足度★65点
■攻殻機動隊を彷彿とさせるが・・・
マッドマックス 怒りのデス・ロード [アクション・アドベンチャー]
★満足度85点
■シャーリズ・セロンの演技あってこそ
はっきりいって、期待していなかった。
過去のマッド・マックスがもたらした「世紀末」は、水や食べ物はどう補給してるのか?とか、人間以外の動物の存在はどうなっているのか?とか、荒唐無稽で突っ込みどころが多い。それ以降似たような世紀末観を呈示している映画を見るたびに、どこか醒めた目でみてしまう自分がいたからだ。
しかし、今回はそういう余計なことは吹っ飛んでしまった。
(全く戦闘に加担しない音楽隊や、ガソリンを口で挿入するマックスなど、楽しい突っ込みどころは多々あるが)
特筆すべきなのはシャーリズ・セロンの演技力。演技が必要とは思えないこんな映画だからこそ、説得力が必要なのだなと思った。脇腹を刺された状態でマックスを支えた、あの極限の表情が忘れられない。
ニュークス演じるホルトも、最初と最後の台詞では顔つきがまるで違う。彼の末路は概ね予測できたが、それでも「俺を見ろ」という台詞は胸が熱くなった。
搾乳器に繋がれた太った女性、隔離された五人の妻、死亡したスプレンディトの腹から胎児を取り出すなど女性軽視の描写も多いが、結局はフェロノサをして、女性がこの世界を正気に戻す一縷の望みとして描かれているのがいい。闘いを挑む「鉄馬の女」たち、種を守ったまま死ぬ老婆の姿に涙した。
独裁者イモータン・ジョーが、逃亡に荷担した妻たちの教育係を殺さなかったのは、妻を取り戻したあとに必要だと思ったからなのか。それを考えると、彼の弱点がわかるようではないか。女の私からみても、荒野にたたずむ五人の妻の姿は、この世の宝かと思った。
生きていることを実感したいために生きてる、そんなエネルギーを発散させるかのように疾走する圧倒的なカーチェイス。CGを多用した爆破シーンを見慣れた私たちは、どこかで本物のスリルを求めていたのかも。エンジンの音、機械の軋み、アドレナリンを鼓舞する爆音音楽隊。棒から飛びかかるウォーボーイズ、特攻隊さながらの手榴弾をくくりつけた鉄棒攻撃。
最高にエネルギーを疲弊する映画。
この時代にこそ、観るべき。
ドライブ・アングリー [アクション・アドベンチャー]
★満足度50点
■タランティーノ風のB級
B級になりきれているようで、目指しているのはA級なのかと疑いたくなる映画。
すっかりB級臭が漂うニコラス・ケイジの親友役にデビット・モース。
あんな良い俳優使っちゃだめでしょw
でもその彼とヒロインのアンジェラ・バードのおかげで少し「みられる」映画になったのも事実。
ウィリアム・フィクナーはプリズン・ブレイクのFBI捜査官役を彷彿とさせる悪魔の使い手。
彼がくるくる横転するトラックの上で、指揮者のようにふるまうなど、「おっ」と思うかっこよいカットもちらほら。
悪魔崇拝のカルトとやらは70年代の残党か。
広大なアメリカ、あんなコミューンがまだありそうで怖い。