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女王陛下のお気に入り [歴史絵巻・文芸作品]

満足度★70点

■演技合戦は見事だが、クライマックスでカタルシスを得られない

2019-03-11T18:55:31.jpg

史実をベースにしているが、人物描写は大胆に変更。アン女王をバイセクシャルに描いたことに新鮮な驚き。
史実ではレイチェル・ワイズ演じるサラが宮廷から追放されたとき、女王がレズビアンだと糾弾したとかとかしないとか。

本の背表紙のような各章のデザイン。
カメラ・オブスキュラで覗いたようなファンタスティックな映像。
自然光で撮影したナチュラルな陰影。
蝋燭の灯りにふわっと浮かぶ女の魔性の顔。宮廷という密室で行われる駆け引き。

オリビア・コールマンが独りで憂う時に醸し出す高貴さ。
レイチェル・ワイズの冷徹な上品さ。
エマ・ストーンがみるみる堕ちていく様子。

見ている間は華やかで卑猥な宮廷絵巻に引き込まれるのだが、いかんせん観た後に心に何も残らない。
三人の演技に牽引され、劇中非常に緊張感を強いられるのだが、それがクライマックスに向け収斂し解放されることがないので、カタルシスを得られない。

劇中ではサラとサラの夫が追放される寸前で終わり、一応アビゲイルの勝利に終わるのだが、どことなく中途半端。その先の史実ではこの夫婦は罷免されたあと旅行にでかけたらしいので、映画的にはここで終わらせることで含みを持たせたかったのはわかる。だが描き方がスリリングじゃない。
どうせならもっと悲劇に仕立て上げてもよかったのじゃないか?あくまで史実は逸れたくなかったのか。

ラスト、エマ・ストーンのひくつく表情は見事。途中からアビゲイルがいつダークサイドに堕ちちゃったのか、そればかり考えていたのだが(笑)、終わってみるとレイチェル・ワイズの存在感がやけに残る。 個人的には彼女に賞をあげたい。

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