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レヴェナント 蘇りし者 [サバイバル]

満足度★75点

レヴェナント:蘇えりし者 [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
  • メディア: Blu-ray








■命のやりとりに崇高ささえ感じる

あらすじなど一行でかける映画である。

ヒュー・グラスの姿に何を見いだすか。人間が動物にまで貶められたと取るか、それともあるべき原始の姿に戻ったと取るか。
自然光のみで撮影したという圧倒的なリアリティ。特にこだわったという夜明けや夕暮れのマジックアワーは神々しく、薄明に照らされた雪原や森林が美しい。その中で繰り広げられる命のやりとり。人間も獣も、その日生き延びることだけを考える。命のやりとりに残酷さを超えて、崇高ささえ感じる。

私はテントを背負って3泊~4泊山を縦走することがある。だから、ヒューの目を通して一緒にサバイブしている気持ちに陥った。
登山中は無心で、ただひたすら一歩を繰り出す。 苦しさは次第に薄れ、自分の体が自分の物ではないような、その場の一部になったような奇妙な浮遊感を覚える。 鳥の声が聞こえたら天を仰ぎ、太陽が出てきたら立ち止まって暖かさを感じ、水があれば喉を潤しその美味さに感動し、眠るときは風や木々の咆哮にも似たざわめきに身を震わす。
しかし日の出の瞬間は、世界がいっせいに目覚めたという感覚が肌を駆け巡り、雄叫びを上げたくなるほど無性に嬉しいのだ。

ヒューは、瀕死の状態で何を考えたか。最初は復讐にたぎる目をしていた。
しかしジョンを追いながら、肉を食べ、水が体に染み渡る喜びを得て、メディシンマンに救われ、馬の屍肉を切り裂き中に入り、過酷なサバイブをしていくにつれ、自分が生きていることに不思議な感銘を受け魂が浄化されていくようにも見えた。生きたいという大きな欲と無我の境地は相反しているのに、不思議だ。
人間社会のモラルが酷く陳腐に思えるのだ、大自然の中では。

最後、ジョンの命を自然の成り行きに委ねるヒュー。結局人間がジョンに止めを刺すことになるのだが、人間も自然の一部だという表現なのかもしれない。

感動を生むのは、グリズリーに襲われる場面、突然飛んでくる銃弾や矢、崖から馬と共に落下する場面など、映像の奥行きと臨場感の凄まじさがあってこそ。長回しの手法をとってはいるが、体験型劇場にいるような「バードマン」とは違って、その場に放り出された感覚に陥った。なまじ、3Dなどより生々しい「生」がこの映画にはあった。

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