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キングスマン ファースト・エージェント [アクション・アドベンチャー]

満足度★85点

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■うまく歴史を絡め、外れなしの面白さ

今回は秘密結社結成への説得力を持たせるためか、歴史上の人物をふんだんに採用。
ラスプーチン、マタ・ハリ、レーニンなど実在の人物を絡めてうまく料理した。
米大統領の小物感も楽しく。彼がステイツマンを示唆するセリフも二度ほど登場。

世界を混乱に陥れ「うまみ」をかすめとる秘密結社の存在はあながち完全な虚構とはいえない。
陰謀論を唱えると陰謀論者と揶揄されることが多いが、原爆投下の決定にチャーチルが関わっていたことなど、のちのち明るみになる陰(かげ)の謀(はかりごと)は枚挙にいとまがない。
「左右両手のバランスをとる」のは彼らの常套手段。比重が偏ると謀がばれてしまうし、次々に繰り出すことでどちらかが潰れてもいいようにし、敵には標的を絞らせず社会を混乱させる。
「政治で戦争は解決しない」のも、それもまた真理。

また、英国による植民地政策など過去の贖罪のような台詞が度々あるのが印象的。それで旧植民地に生きる映画ファンのガス抜きしたいというわけではないだろうが、キングスマン設立への動機付けとしてはよい。
第一次世界大戦を「いとこの戦争」とはよくいったもので、当時のイギリス国王、ドイツ皇帝、ロシア皇帝はいとこ同士。

歴史を遡れば、ローマ時代にハリアドヌス帝がイギリスに壁を築き、その後ゲルマン人が神聖ローマ帝国を率いるようになり壁から南に入植したときから、イギリスとドイツに対しては似たようなルーツを持つ同士で覇権争いを何世紀続けてるんだ?と半ば呆れにも似た気持ちが湧く。

紳士の気品と愛国心と博愛精神を体現する初代キングスマン、オーランドにレイフ・ファインズ。ラスプーチンもぴちぴちの息子コンラッドより大人の魅力がいいらしい。レイフも足なめなめされながらも、老体にむち打って奮闘。「魔力は本当だった」じゃないよ、と突っ込み(笑)。
007ではMI6の高官と大忙しの彼。英国の存亡は彼にかかっているね。

アクション面では漫画的な未来形アイテムは登場せず、地に足の着いた無骨さ。しかし音楽にのせたノリノリの格闘シーンは健在。世界に張り巡らされた情報網は召使いという、地味ながらもワクワクする情報戦を展開。この設定が意外と萌え要素。マーリンとのバディぶりもよい。
前回のランスロットのように、重要なキャラがあっさり途中退場するもったいなさも。キャラを出し惜しみしなさすぎる感も。 コンラッドが戦地に赴く場面は「1917」のセットを彷彿とさせる。ゲリラ戦の緊迫感は見事で、戦場の無慈悲さや悲哀がしっかり描かれるが…、彼のキングスマンも見たかった。

イングランドとは何かと因縁と確執のあるスコットランド人が黒幕。
「マナーが紳士を作る」。まさかこの台詞が敵から語られるとはね。
それにしても最期の山羊の意趣返しは、山羊頭の悪魔「バフォメット」をモチーフとして使われる悪魔崇拝や秘密結社への皮肉のようにも受け取れるが、それは考えすぎか?
最後に過去編2が作られてもおかしくない大物が登場。それはそれで、オーランドの活躍を見たい気持ちもする。

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