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ザ・ホエール [ヒューマンドラマ]

満足度★85点

ザホエール.jpg

■魂の救済とは
終映後、久しぶりに拍手がおきました。
最後、チャーリーが力を振り絞り、立ち上がり、娘のもとに向かおうとする姿は、銛でつかれようとも生きようとする白鯨に重なり、それは生きながら死に向かっていること、生きている苦しみそのものを体現しているようでした。

最初は映画サイトのあらすじと若干違うことと(娘に会いには行かないこと)、入れ替わり立ち替わり様々な人物が突然登場することで入り込みづらかった部分もありました。

しかし、あ、そういえばこれはアロノフスキー監督作だったと気がついてからは、その“型”にすっと入り込むことができました。
要するに「ノア」しかり、「ブラック・スワン」しかり密室劇なんだな、と。

家族という血縁関係の複雑なパワーバランス、それを描かせたらピカイチの監督。
しかし今回は「目的」や「使命」ではなく、「救済」をテーマにしています。

登場人物は、だれも悪くない。
ただ自分の心に忠実であるがゆえに、家族を傷つけてしまう。それは、よくあることなのこもしれませんが、この作品は更に、愛し愛される関係の者でさえも救うことのできない絶望に一歩踏み込んでいます。
愛しているのに救えないもどかしさゆえに怒りを相手にぶつけてしまう。チャーリーとリズの関係でもあり、チャーリーと元妻のメアリーの関係ともいえるでしょう。

人の心は自分自身でしか救えないのかもしれませんが、最終的に赦しをえることで、救われることも事実。赦しは、与える側をも救うのかもしれません。そんなラストを、私も祈る気持ちで見つめていました。しばらくは、涙が止まりませんでした。

>>余談

チャーリーに宅配するピザ屋が、姿を見せないチャーリーの姿をこっそり見て逃げ帰る様子は、ルッキズムの典型的な事例だとおもいました。
あと、【コード46】と、【マイノリティ・リポート】で印象的だったサマンサ・モートンが捨てられた女性という傷を負い、チャーリーを愛する心も残しながら、現在の姿に動揺を隠せない、複雑な演技を見せます。

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