【ガウディとサグラダファミリア展】国立近代美術館 [■ART]
その造形は、ひもといてみれば難解なようで単純。
彼の人間の造るものは自然の影響の範疇からでることはない、という意見に納得。
ガウディの建築は素人がパッと見ると、どうやって設計したのかわからないぐらい複雑なパーツを組み合わせたようにみえますが、実は自然界に存在する造形美を生かしていることや、「平曲面」と呼ばれる直線から曲線を生み出すシンプルな手法をとっていることを知りました(例:同じ長さの棒を横一列に並べて、片側を持ちあげると波のようになる)。
さぞや職人泣かせなのではと思いきや逆で、実力をとわず簡単に作業できるように考えられていました。円周率ができなくても、棒と紐さえあれば誰でも円をかける的な…。素人考えですが、そんな自然の摂理を建築に落とし込んだ人がガウディなのかなと。
フニクラと呼ばれる応力構造の実験(柱のモデルに重りをつけて逆さづりにして重力の均整がとれた形を反転してそのまま建築する)や、庭に生えているシダ植物の型をとって、鉄柵のデザインにしていたのも、面白い発見でした。
あと興味深かったのは、当時欧州では洞窟を模した暗い地下に作られた水族館が流行っていたり、パリ万博が開催されたりなどして、世間的に「探検」「未知の世界」という気分が醸成されていたこと。それがガウディにも少なからずとも影響されていたという部分。
最後のエリアでNHKのドローンからの空撮映像が流れますが、この映像にはうっとりしました。温かみのある赤い屋根の街並みの中に木が生えているようなサグラダファミリア。協会自体が一つの彫刻のようです。昔見たドキュメンタリーで、ガウディは空に根をはる植物のような建築を思い描いていたのでは・・・とナレーションが入りましたが、まさしくその通りだと思いました。