ワンダー 君は太陽 [ヒューマンドラマ]
バーチュオシティ/のちに大物俳優になる2人が登場 [SF]
■着眼点はいいがB級
同年代の作品と比べても安っぽいがアイデアはいい。1995年の作品。4年後(1999)のマトリックスと比べるのは酷だが、同年代のアポロ13、ガタカ(1997)などと比べると、B級っぽさが目立つ。
格調高いSFとは趣が異なる内容だとは思うが、それにしてもディスコ調の音楽やスーツ姿などを用いて、あえて「ダサく」見せている感じも否めない。
デンゼル・ワシントンとラッセル・クロウ(認知度が一気に上がった【L.A.コンフィデンシャル】はこの2年後だが)という2大スターの共演ながら、彼らの持ち味や凄みが消されてしまっており勿体ない。
ラッセル・クロウ演じるヒールも、アメコミの「ジョーカー」の二番煎じのよう。
歴史上の様々な悪人をシュミレーションさせて出来上がった人格、ナノマシンによる外殻形成など、アイデアはとても独創的だと思うのに、生かし切れておらず、ただのド派手なアクション映画に成り下がってしまった。
この作品こそリメイクしてほしい。
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わたしは、ダニエル・ブレイク [ヒューマンドラマ]
失業保険をもらいたい、ただそれだけの当然の権利を受けたいだけなのに、制度の壁に阻まれる初老の男。
コールセンターのたらい回し、福祉施設での施し、表面上の就職活動など数々の屈辱にあい、彼の心は削られていく。
これは民主主義政策をとる肥大化した先進国において、共通の問題なのではないか。
大きな政府は求めていない。小さな政府でも福祉だけはきちんとできるはず。それだけの対価は、税として納めているのだから。税金は個々人の人生の時間の集約であって、ただの数字じゃない。
「俺には名前がある!と叫ぶダニエルに共感100%。政府という大きな存在は、中身は同じ人間が集う集合体のはず。人民の生活を円滑に進めるための存在であるはずなのに、援助にかかる費用を削減しようと、複雑な制度を用い人を拒む。ダニエルとシングルマザーとの交流が泣ける。
ザ・クリエイター/AIが人間に近づけるかというテーマの限界 [SF]
満足度★70点
■雰囲気はかうが設定が粗い
●AIは人間に近づけるかというテーマは、個人的にはもう答えが出ている
大好きな作品「ローグ・ワン」の、ギャレス・エドワーズ監督の新作。
一瞬死ぬ前の脳の記憶をスキャンする機械や、地表をスキャンして攻撃する「ノマド」のデザイン、オリジナルから記憶を移したマヤの躯体とジョシュアの邂逅と死、
ローグ・ワンの展開を彷彿とさせるが、音楽やビジュアルが醸し出す崇高さは壮大なギリシャ神話を見てるようでもあり、上質なSF作品の一つであるとは思う。
だが、いろいろと話が雑な箇所が見受けられる。
そもそもアルフィーは「自力で成長するAI」なのだろうか。
マヤは出産前からAIを作っていた。ということは、ノマド攻撃の際に命を落としてしまった二人の子供を形見として作ったわけではない。
ここで「成長するAI」だという仮説を立てて疑問を書く。
・子供のAIは成長するとしたら中の骨格の金属は誰が作り直すのか?
・有機物の摂取は必要なのか?
あらゆる生物は人間も含めて、体内に様々な生き物が棲んでおり、それにより一つの肉体として存在可能となっている。無機物のロボットが、それが可能だとは思わない。骨格がめきめきと分裂と再生を繰り返すことはありえないと思うので、「成長するAI」説は荒唐無稽に感じる。
「成長するわけではない5歳児程度の子供のAI」だという仮説を立てて疑問を書く。
・あの年齢の外見にしたのはなぜか(マヤとジョシュアが再会する年月という説もあるが、再会する月日は、マヤが知る由もない)。
・完成されたプログラムをインストールされている他の大人のAIと違い、自力で学習するAIなのか。
●この世界に対しての疑問
・大人の人間型AI、摂取した栄養はどこにいくのか。
・アルフィーを直しにいったヒマラヤのような寺院(ネパールのルクラっぽい)で、いつの間にか直っていたアルフィー。だれがいつ直したのか。
・ニューアジアの政府は一体なにをしているのか?
AIを持て余してお馴染みの自作自演を繰り広げて他国を攻撃する口実にするのはいかにもアメリカらしいが、対する「ニューアジア」の、政府らしき機関が全く登場しないことに違和感。なぜアジア側がゲリラ戦ばかりなのだろう。
AIものに新機軸を見いだせたか?というと、科学技術と設定が曖昧ゆえに、曖昧な感想しか持てなかった。ただ、アルフィーの子役の演技には心を揺さぶられた。
まじめな話、あまたのSF作品は脳だけが人間たらんとしすぎている気がする。
鳥の脳を、羽毛もくちばしもない無機質ボディに移し替えたとして、それは果たして鳥といえるのか?というように、私たち人間も体あってこその人間だと思う。
人間は体内の様々な生物と共生している。反射という現象は、筋肉や様々な部位が脳を無視して命令する。それを無くして脳だけで人間とは呼べないはず。
AIがいくら高度な計算能力や記憶力を持っていても、それは人らしき存在であってヒューマンではない。また、痛みや死への恐怖があってこそ生物といえるのでは…と。
なので、ロボットが壊れて泣いていた人間の描写にも違和感。頭脳を司る部位が無事なら、いくらでも身体を再構築できるだろう。
その辺は私の愛するSTARWARSの世界観が一番しっくりくるのだ。
無理してビジュアルを人間に寄せようとしていない。AIという言葉は存在したなかっただけだろうが、あくまでメカやロボットの延長という感覚でドロイドが活躍している。職業ドロイドがほとんどで得意分野に特化した様々な特技があり、
ドロイドはパブではオイルを挿し、プログラムされていない言語は話せないとのたまう。
高度なプログラムにより、人間とも軽口をたたき合う会話ができるドロイドもいるし、ドロイド語しか話せないポンコツ風のドロイドもいる。そこに友情めいたものをはぐくむこともあるし、犬と人間の様にバディとなるドロイドもいる。壊されてもメモリーさえあれば直るので、数年後に稼働するドロイドもいる。そこに「死」という悲壮感はない。やはりあくまで「メカ」なのである。
そのメカが人間と共闘し、種同士の戦いではなく、理想の体制というものを実現するために共存していいる。それでいいじゃないかと思う。私の中でロボットと人間の完璧な関係性はスターウォーズで終了している。SW賛美のようになってしまったが、人間に近づくAIの脅威というアイデアに半ば食傷気味なので、もうそこのジレンマにとらわれないAIものを作ってもいいのではないだろうか。
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ウェス・アンダーソンすぎる風景展 [■ART]
映画の映像をすべて「真正面」に、人物が絵画のように定位置に「固定」された画を撮り続ける稀有な映画監督、ウェス・アンダーソン。
…「これ、ウェスっぽい!」という風景を、ファンたちが「#AWA」(アクシデンタリーウェスアンダーソン)のハッシュタグをつけて投稿した写真の展覧会。
真正面でぽつんと。カラフルで温かみのある色、そして「空」が肝。
ホテルも入り口ではなく、最上階と空を撮っている。そこに物語性というか、小説の行間のような「間(ま)」を感じる。
これはかなりの発見。絵本のようでもあり、異次元の入り口のようでもあり。シュールなダリの絵画のようでもあり。写真の可能性を感じます。
建物の歴史的背景も書いてありますが、写真を見せたいので解説版は小さめ。
それをとことん読み込みたい人は、展覧会費用をケチって、最初から図録を購入するのも手だと思う(笑)。
とにかく、旅に行きたくなること請け合い。
日本は看板や、立ち入り禁止などのコーンとか、のぼりなど余計な物を置きすぎなのだと気が付く。
店もポスターや余計な物をべたべたと張りすぎ。一番末尾の、郵便局の潔さを見よ!
なんと上は北朝鮮。
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