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リドリー・スコットの描く「ナポレオン」 [戦争ドラマ・戦争アクション]

満足度★65点

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■軍師としてのナポレオンの魅力は皆無。鋭利さも狡猾さも描き切れていない
王制打倒した後、船頭が多数現れ消えていった混乱のフランスを、ほの暗く灰色の色調で彩る。
戦闘シーンは圧巻、イギリスやロシア入り乱れるワーテルローは関ヶ原もこうであったのかなと思わせる迫力があったが、肝心のナポレオンの描き方はというと、英雄のカリスマ性も戦略家としての知性も描かれず、物足りなかった。

この映画のナポレオンは野獣のように猛々しいわけではなが、名声や地位には飢えている。しかしどこか感情が乾いているように見えた。他人事のような目で、自分自身を観ているようだった。自分自身の強烈な野心から動くというより、むしろ世間に流されるままに、求められるままに英雄を演じたといってもいい。田舎者であるが故の劣等感から、成り上がりたいという欲望はあるが、フランスのために戦うという大儀は感じられない。

映画は終始ジョセフィーヌとの奇妙な愛憎関係を描いて終わった。
とはいえ、底冷えする瞳をしたホアキン・フェニックスは、かつて映画「グラディエーター」で演じた皇帝ネロの時のようにつかみ所のない恐ろしさも醸し出していたので、真っ当にナポレオンを描く映画に出たらもっと英雄然としていたかもしれない。うーん、リドリースコット監督は、ナポレオンを信念と大儀なき英雄としてとらえたのだろうか。前作の「最後の決闘裁判」のように登場人物の心理描写と駆け引きを主軸にするのであれば、これほど大がかりなロケは不必要だったのではないかとさえ思える。

それにしてもローマ時代ガリアと蔑まれていたフランス。そのローマの主権を握ったゲルマン人。イングランドに入植したゲルマン系アングロサクソン。そのイングランドが再びフランスにとどめを刺すのが因果だなぁと思う。

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2023年鑑賞した映画(44本)&ベスト5 [▼各年鑑賞映画リスト&ベスト5]

あけましておめでとうございます。
新年最初の投稿は恒例の、昨年の鑑賞リスト。
2023年は、44本と極めて鑑賞数の少ない年となりました。
しかし毎月劇場に足を運んだ年でもあり、スター主演の大作の続編をきっちり追えたという満足感はあります。
また話題作の公開が相次ぎ、前半は「RRR」の話題が席巻、夏はトム・クルーズのスタントが話題になった「MI」シリーズが賑わし、後半は宮崎駿の新作が席捲した感があります。
個人的には人間の業とどうしようもない感情を描いたヒューマンドラマ3作と、意外な展開を見せたムネアツの「ミスター・ガラス」、大作の名に恥じない楽しさとAIの脅威を描いた「ミッション・インポッシブル」を選択。
〈ベスト5〉
●ザ・ホエール
●帰れない山
●ミッション インポッシブル/デッドレコニング
●ミスター・ガラス
●スティル・ウォーター

〈鑑賞リスト〉(★劇場鑑賞)
★人生クライマー/山野井靖と垂直の世界(2022日)※ドキュメンタリー
ベイビー・ドライバー(2017米)
スパイダーマン:スパイダーバース(2018米)
キャプテン・マーベル(2019米)
★アントマン&ワスプ クアントマニア(2023米)
ブラック・ウィドウ(2021米)
ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス(2021米)
ワカンダ・フォーエバー(2022米)
マイティ・ソー/ラブ&サンダー(2022米)
パディントン2(2017英仏)
★帰れない山(2022イタリア・フランス・ベルギー)
イエスタディ(2019英)
英雄の証明(2023イラン)
★マヤ 天の心、地の心(2011独)※ドキュメンタリー
★ジャンポール・ゴルチエのファッション狂騒劇(2018仏)※ドキュメンタリー
スティル・ウォーター(2021米)
ザ・ロストシティ(2022米)
L.A.コールドケース(2018米英)
★開拓者たち(2023チリ)
ライオンキング(2019米)※フルCG版
エベレストに消えたマイケルを探して(2023英)※ドキュメンタリー
47RONIN(2013米)
フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(2021米)
SHOHEI OHTANI Beyond the dream(2023米)※ドキュメンタリー
★ドミノ(2023米)
★ガザ 素顔の日常(2019アイルランド・カナダ)
ジャンクヘッド(2017日)※ストップモーションアニメ


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▼ちなみに米エンターテインメント・ウィークリーの発表した2023年の映画ベスト10はこちら。
1位「オッペンハイマー」
2位「パスト ライブス 再会」
3位「キラーズ・オブ・ザ・フラワー・ムーン」
4位「ソルトバーン」
5位「神さま聞いてる? これが私の生きる道?!」
6位「メイ・ディセンバー」
7位「哀れなるものたち」
8位「ザ・ホールドオーバーズ」
9位「君たちはどう生きるか」
10位「バービー」

▼ロッテントマトのジブリ評価はこちら
https://eiga.com/news/20231229/14/

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2023年に読んだ本(23冊)&ベスト5 [■BOOK・COMIC]

2023年はなんと年号と同じ23冊!少ないですね。
このなかで社会的に読んでよかったと思う本は「ジェフリー・エプスタイン 悪魔の顔~」、「マルタ騎士団」。世界で起きていること、また世界は広いことを思い知った本だった。
ただマルタ~は騎士団称賛のきらいがあるのでベスト5にはいれなかった。

フィクションとして面白かったのは「ザリガニの鳴くところ」。人間が動物の様に、生命の危機にあった時に邪魔者を排除するということを、誰が一体さばけるのか、そもそも裁くべきものなのか、生きることの根源を問うた本。逆にノンフィクションでクライマー山野井泰史に肉迫した「凍」。やはりこれも生きることの根源、本能、そして生きる喜びとは何かを考えさせれた。登山は危険なことをすることが楽しい行為ではない。自分の極限を超えてただその頂きに魅せられたその姿には、人間の好奇心と冒険心があらゆるジャンルにおいて道を切り開く原動力なのだと思い知らされる。
逆に残念だったのは、ミレニアムシリーズ。好きなシリーズだっただけに、やはり1作目作者の死は痛いと感じた。


〈読んだ本リスト〉(★はベスト5)
・アラスカ永遠なる生命(星野道夫、2003.6.1、小学館)
・神が愛した天才科学者たち(山下直久、平成25年3月25日初版、角川ソフィア文庫)
・ミレニアム5/復讐の炎を吐く女(上下)
★バッタを倒しにアフリカへ(前野ウルド浩太朗、2017.5.20初版、光文社)
・ミレニアム6死すべき女(上下)(2019.12.10、ダヴィド・ラーゲル・クランツ、早川書房)
・what’s up?(平出和也、2023.03.10、山と渓谷社)
・ザ・フォックス(2022.5.24、角川文庫、フレデリック・フォーサイス)
・ヒルは木から落ちてこない。僕らのヤマビル研究記(2021.8.13、樋口大良、子どもヤマビル研究会、山と渓谷社)
★うんち大全(ジャン・フェクサス著、1998.10.25、作品社、高遠弘美訳)
・ジ・エンド・オブ・ジ・ワールド(那須正幹、ポプラ文庫、2015.2.5)
・北海道人-松浦武四郎(佐江衆一、新人物往来社、1999.10.15)
・神の方程式「万物の理論」を求めて(ミチオカク、NHK出版、2022.4.30)
・ちくまQブックス ふしぎなことばことばのふしぎ(2022.08.10)
★ジェフリー・エプスタイン億万長者の顔をした怪物(2022/3/11、ジュリー・K・ブラウン、ハーパーコリンズジャパン)
・地球の歩き方ムー-異世界の歩き方ー
・君たちはどう生きるか
・十角館の殺人(新装改訂版、綾辻行人、2020.7:8/1991.9.15旧1刷)
・深夜特急1 香港・マカオ(平成6年3.25)
★ザリガニの鳴くところ(2021米)
★凍(沢木耕太郎、平成二十年、十二月一日)
・マルタ騎士団(武田秀太郎、2023.6.10、中央公論新社)
・ウソみたいだけど実在する!世界のスゴい国(2020/11/1、JTBパブリッシング)
・イラク戦争従軍記(朝日新聞記者)

ジェフリー・エプスタイン 億万長者の顔をした怪物

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  • 出版社/メーカー: ハーパーコリンズ・ジャパン
  • 発売日: 2022/03/11
  • メディア: Kindle版
バッタを倒しにアフリカへ (光文社新書)

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  • 作者: 前野 ウルド 浩太郎
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2017/05/26
  • メディア: Kindle版
うんち大全

うんち大全

  • 出版社/メーカー: 作品社
  • 発売日: 1998/11/01
  • メディア: 単行本
ザリガニの鳴くところ

ザリガニの鳴くところ

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2020/03/05
  • メディア: Kindle版
凍 (新潮文庫)

凍 (新潮文庫)

  • 作者: 耕太郎, 沢木
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2008/10/28
  • メディア: 文庫

タグ:読書
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ガザ 素顔の日常 [ドキュメンタリー]

満足度★90点

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■今こそ見るべき作品。そこに住む人たちは自分たちと何ら変わらないという、当たり前のことをきちんと実感する

中野のシェアカフェ、una_camera_livera さんで、ウナカメ夜シネマに参加。
今回は2019年の映画「ガザ 素顔の日常」。
アメリカ大本営の映像や発表に追従しているばかりの日本では、過激派アラブ人のイメージばかり先行してる感がありますが、パレスチナ人の家族思いで社交的で情熱的な一面が知ることのできる一作です。戦争がなければ、どこよりも穏やかで親切で礼節を持ちあわせる民族なのかも知れません。検問所が閉じられているため、南北40キロ東西10キロのガザ以外にどこにも行けないガザ市民。

見ながら様々な疑問が渦巻きます。
・ホロコーストを経験したユダヤ人だちが、同じことをアラブ人にしていることに対して、何も感じないのか。 ・イスラエルはガザ市民を根絶やしにするまで攻撃をやめないのか。
・パレスチナ政府はガザ市民が逃げ出すとイスラエルに占領されてしまうから他のパレスチナ地域に移動させないのか?それともできないのか?
・ガザのパレスチナ人は自由になったとしてその先ユダヤ人とはどういう関係を築きたいのか… 様々な疑問が渦巻いたまま、ドキュメンタリーでは不安の裏返しから少しでも明るく生きようとする人々と、行き場のない怒りから攻撃に転じ負傷する若者たちの姿も描き、そこには何の解も見いだせません。

ただ、平和に日常を過ごしたいだけなんだ、という切々とした彼らの訴えが頭にこだまします。十字軍の時代から、一方的な西洋の聖地奪還という大義名分で戦禍の地になったパレスチナ地域。ww1のイギリスの三枚舌により、イスラエル建国で勝手に割譲されたパレスチナ。ただそこに生きている人々の声など全く反映されない、政治のパワーゲームで苦しむのはいつも民間人です。

〈料理〉
ちなみに中東料理の提供は、ハラフェル(ひよこ豆ベースのハンバーグ、ラぺ(人参とレーズンの酢漬け?)、フムス(ひよこ豆のペースト)、ババカヌーシユ(茄子のペースト)でした。

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東京クリスマスマーケット2023in明治神宮外苑 [■お出かけ・雑記]

https://tokyochristmas.net/

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12月初旬に、誕生日の近い友達とクリスマスマーケットに行ってきました。
平日だったにもかかわらず、けっこうな入場者だったように思います。
16:30入場、この時点で食事30分待ちの店もチラホラ。20:00ごろになると人も減り、買いやすくなりました。
早めに入って寒くなって帰る人が多いのですかね。

★マグカップについて
・予約すれば、入場料だけでオリジナルマグカップもついてきます。
・予約しないと、入場料を支払い、オリジナルマグカップが欲しければ別途購入しなければなりません。
この点を前日まで理解していなかった私(笑)

予約してもしなくても欲しければ別途支払うのだと思っていました。

★ビール購入について
・ビールはグラスで飲みたければデポジット代を払って飲みます。グラスを返すときにデポジット代は返金されます。購入したお店を忘れないように注意!
・グラスで飲まなければ紙コップなど簡易的な物に注がれます。寒いのでこぼすと悲惨です。

たくさんのSHOPが立ち並び、クリスマスグッズは見ているだけでも心浮き立つものでした。
各お店の屋根のオブジェも一つ一つ凝っていて可愛い。私は「ドイツセンター」でシュトーレンを購入。友人はロシアのマトリョーシカを購入してました。ちなみに過去数年のクリスマスマーケットのマグカップを販売している店があったのですが、個人的には今年のデザインが一番かわいいと思いました。
今回は野球場で開催だったので、芝生と土の上に敷かれたマットがぼこぼこして暗がりだとちょっと歩きづらかったかも。登場した外国人のバンドが、アバやqueenなどの洋楽ヒット曲を演奏してくれたので、個人的には大盛り上がり、久々に踊ってしまいました。

★食事の感想
なぜか混雑している店としていない店に偏りがあったのですが、どこも似たりよったりなので、空いている店でささっと買うのがいいと思います。どの店も購入した人たちのお皿を見ると食べ物は写真とあからさまに違う量で少ない。ちなみに肉系よりポテトのほうが写真に近い量と感じました。

飲み物は、写真と同じように飲み物を再現する店としない店が混在していたと思います。
私たちが買った店では楽しみにしていたグリューワインにレモンとシナモンが挿入されておらず、ちょっとがっかり(こういう細かい演出品って削ってはだめだと思うのですよね)。

★注意したい点
・終業30分前くらいから店が片付け始め、あやうくグラス返却ができないところだった。デポジットの代金を返却してもらわなくてはいけいないのだから、きっちり閉店時間まで空けておき、片付けはそれからにしてもらいたいです。
・夜は霜が降りて、テーブルやいすが濡れていることがありました。次行くことがあれば予備のハンカチやぞうきんを持ってこようかと思います。
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パインアメのようなリース
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ヒット曲演奏で大盛り上がり
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