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ワールド・ウォー・Z [ホラー・モンスター]

★満足度70点

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■「今までに無い」は超えられなかったゾンビ映画

原作の、ウイルス潜伏期間を無くしたこと。多数の人間からの視点を省いた事。
このオリジナリティーを廃してしまって、同タイトルを冠する事が果たして正解なのか。

WORLD WAR Z 上 (文春文庫)

WORLD WAR Z 上 (文春文庫)

  • 作者: マックス ブルックス
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2013/03/08
  • メディア: 文庫

国連の人間という視点から、世界中に同時にパンデミックが起こったらどうなるのか?
政治は機能するのか?助ける人間を選りすぐるのか?
政府側の視点で描かれるのは面白いとは思う。
「0号感染者」を探すべく情報収集したり、WHOにワクチンを入手しに行ったりと、ゾンビ化人間から逃げ惑うだけでなく、ウイルスを食い止めることを科学的現実的に行動している。

いち早くパンデミックを予見して防御壁を建造したエルサレムが、パレスチナからの流入民を受け入れたが、コーランの大合唱のせいでゾンビを興奮させてしまい壁が壊れてしまうのは皮肉だったし、格言めいた台詞でなるほどと唸らせた「希望の星」であった学者が、不慮の事故で死んでしまうのも現実にありそうだ。

しかしあくまでも「ゾンビ」ではなく「ウイルス」として対応していることは認めるが、後半はゾンビに「見つからないゲーム」のようになってしまい、今できる唯一の対処法を発見するくだりが、ややご都合主義に映る。
今までゾンビ化人間に全く無視される人間がいたことから、「ある特定の病気に罹患している人は襲われない」ことを突き止める。
その「病原体」を探し出す為に主人公自ら被検体になるのだが、たった一回で「ビンゴ!」になってしまうのだ。
音に敏感なゾンビに見つからないよう行動するくだりが長すぎて、その肝心の決死の行動が活きてこない。

まだそれなら【アイ・アム・レジェンド】のほうが、ワクチンをずっと探していた設定なので、同じウイルス系ゾンビ物として現実的ではなかろうか(他の部分では突っ込みどころも多いけど)。

続編を作るならば、是非ともゾンビを解明してほしい。
襲いたくない患者を瞬時に判断できるのは何故かとか、ゾンビが襲われない人間が、目の前でゾンビを殺して行っても襲われないのかなどなど。

ゾンビは人肉を好むが、ウイルスは宿主を求めている。
襲う人間=宿主がいなくなったら、体内のウイルスはどうするのだろう。
ウイルス罹患者は通常の食物や水を飲まず喰わずで生きていけるのか。
他の作品と一線を画すなら、是非とも科学的見地からの行動を求む。


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