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ターミネーター/ニュー・フェイト [アクション・アドベンチャー]

満足度★65点


■「選択」が救世主をつくることをAIは学ばない

ターミネーターニューフェイト.jpg


http://www.foxmovies-jp.com/terminator/index.html

グレースと、サラ・コナーが超絶かっこよかったが、全体を通してみると2の焼き直しで、追いかけっこがスケールアップしたにすぎないという感想は否めなかった。


ジョンを殺した後、未来には帰れないターミネーターが時の迷子になるのはわかるが、人間の子を育てる選択をするのはちょっとご都合主義な展開ともいえる。2やジェネシスで、サラを守るためにT800を改変したという設定を使えないため、サラへの贖罪というテーマにしたのかもしれないが、ちょっと説得力がない。


また、救世主がジョン・コナーでなくていいなら、必死でジョン・コナーを守ってきた意味は?と考えたくもなるが、そこがAIの盲点なのかもしれないとは思った。


言い換えれば、AIは標的を殺せばそれでうまく行くと思っている。しかし救世主と言われる人間は、生まれつき救世主なのではなく、数ある選択と環境が一人の人間を救世主たらしめていくのである。AIは殺しても殺しても人間から新たな救世主が登場するということに、気がつかないのである。


標的を殺すために辺り一帯を無人化するような大がかりな爆弾や核を使わないのは、AIを作る人間やインフラまで壊してしまったら、そもそもAIの誕生が無くなってしまう可能性や大幅な遅延も起こりえる。だから刺客のターミネーターはあくまでみずからで止めを刺すことにこだわり、自分たちが誕生する未来が来るまでは、現在の人類は生かしておくのだろう。


しかしこれほどAIらが徹底的に人間狩りをするのは何故なのか。それはAIのなかに「自分たちを創り出した人間」への恐怖が根底にあるらではないか。劇中ダニーの台詞にもあったが「造った物は壊せる」のだから。


そしてAIの暴走という未来を繰り返し選択してしまうのも人間なのだ。


国境の壁、移民、女性の活躍、色々な要素を盛り込んだ今作だが、過去に憎しみあっても歩み寄れるということをシュワターミネーターに投影したのだろう。サラが壊れゆくT800に対して台詞なしなのが良かった。なんともいえない表情がいい。

しかし終わってみればジェネシスの方が独創性があって面白かったんじゃないか?


守るべきジョン・コナーがターミネーター化してしまうのはどうかと思ったが、サラを育てたのがT800という設定は面白いと思ったし、結局正統派三作目といいつつ、T800が他人の子どもを育てたという今作は、その設定を借りたようなものじゃないかとも思える。


ジェームス・キャメロンが原案ということで期待したが、少し肩透かし。余計なことを考えずシンプルなアクションというものを存分に楽しみたいならば、満足できるだろう。

とにかく生き延びることに勘の長けたサラ・コナーの、貫禄のある魅力につきる。結局未来の救世主を育て上げるのはサラ・コナー以外にいないのかもしれない。


>>メモ 余談だが、原題は「dark fate」で暗い運命。邦題は「new fate」で新しい運命というわけだが、妙にnewとかつけるから変な期待をしてしまうわけである。暗さのなかに一筋の光明を感じるのがこのシリーズの特徴なので、newとつけるとジョン・コナーの死亡に対して、制作サイドが「仕切り直し」したんだな、という感覚が妙に植え付けられてしまった。制作サイドはそんなことは意図していなかっただろうに。ジョンの死も含めてサラ・コナーに襲いかかる重たい運命を暗示しているのだから、そのままでいいのになぁ。


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