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ギフテッド [ヒューマンドラマ]

満足度★85点

■こどもの気持ちは尊重されないのか

gifted/ギフテッド [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
  • 発売日: 2018/10/17
  • メディア: Blu-ray
いつもこの手の映画を見ると思うことなのだが、子供の気持ちは尊重されないのだろうか。
アメリカでは両親とも実親なのに親権が剥奪されて、子供が里親に出されることもあると聞く。
誰かに通報されてからなのか、飲酒運転や書類送検など軽犯罪の前科があるから審査されるのかそれは知らない。
今回は自分の成し得なかった夢の実現を子供に強制し、人間らしい生活を奪った女性イブリンと息子である主人公フランクとの確執が軸になり、スリリングな法廷劇としても発展するが「こどもにとって何が一番幸せなのか」がテーマになっていることは変わらない。

イブリンはフランクの姉にスパルタ教育と完全な監視下に置き、青春時代と人間らしい生活と幸せを奪った。
姉は娘メアリーをフランクに託した後、自殺。
メアリーに天武の才があることを見抜いたイブリンは、メアリーの親権を奪おうとして息子のフランクを訴える。

とここまで書いてみると、イブリンのとんでもない人間性がわかるのだが、ここまで彼女を駆り立てたものは何だったのか。自分の考えが皆を不幸にすると認めない頑固な姿勢と、自分の成し得なかった夢を自分の血をついだ者の手で成し得たいという欲望、そして世間からの承認欲求、娘への過剰な期待。それらすべてだろうか。

きっとイブリンも自分の人生の過ちに気がついていたのではないだろうか。
しかし認めたら最後、その虚無感に自分が飲み込まれてしまうのを感じ、鉄の意志でその迷いを塞いだのではないだろうか。自分の子供に天武の才があったとしても、監禁して子供時代にしか感じることのできない情緒を奪うことは許されない。感情を自由にできる時代に抑圧すれば、人間らしさの欠如を生むことは、想像に難くないはず。 実はイブリンが望んだ方程式を解いていた姉。
「母親が死んでからそれを公表して」とフランクへ残した遺言に、彼女の心に負った傷を思う。
彼女はきっと、本当は誰よりも母親に認めてもらいたかったけれど、同じくらい憎んでもいたんだろう。
誰も幸せじゃない。誰も幸せにならない、なぜここまで家族を追いつめられるのだろうか。
イブリンに呆れを通り越して哀れみさえ感じた。親権の話に戻る。

他人が家族関係のことを把握するのは至難の業だけど、親に虐待されているかどうかは、注意深く子供を観察し、会話すればわかるのではないだろうか。親と引き離したときにほっとした様子を見せたり、逆に戻りたくないと怯えた様子をみせたり。
今回メアリーはフランクと引き離されて泣いていた。こんなに愛着をもっている相手と引き離して、なにが幸せなのだろうか。安心できる場所が居場所なのではないだろうか。
法は誰から何を守るためにあるのだろうか。
メアリーの水準にあった教育も、こどもらしい生活も両方を与えよう。
フランクの最後の選択が、最初からベターだったんだと思う。イブリンは最初からお金を援助すればいいだけ。
人って簡単なことに遠回りする。子供に幸せを与えるのは難しいけど、そもそも大人が子供の気持ちを無視しすぎだと思う。現実社会においても。

黒人のいい助言役が板に付いたオクタヴィア・スペンサーが、クリス・エバンスの熱演を支える。

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