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LOOPER [SF]

満足度★70点

LOOPER/ルーパー Blu-ray

LOOPER/ルーパー Blu-ray

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 2016/02/17
  • メディア: Blu-ray
■主役のぶれかたが、スターウォーズエピ8を彷彿とさせる

監督、たしかこの作品をプロデューサーに評価されてSTAR WARSに抜擢されたのではなかったか。
彼が描いたエピ8は私には強烈に受け入れがたいものがあって、逆に過去作品が強烈に気になっていたのだが、ようやくこの作品を見てあのSTAR WARSになった理由がわかったような気がした。

途中で主人公が変わっちゃうんですよ、この人。ルーパーの話だったのに、途中でTKという超能力を持つ男の子シドの話になっちゃうんですよね。
もちろんヤング・ジョーの友人がTKを持つルーパーだったりして、冒頭に布石はまかれてるんですよ。

でもね、そんなことすっかり忘れてた矢先に、どかんとシドがTK爆発させて、そこからシドと母親サラの綱渡りのような関係性に多くの時間が割かれていき、せっかく未来からきたオールド・ジョーのブルリーのパートは殆ど無いに等しく、ヤング・ジョーのジョセフ・ゴードンの影もどんどん薄くなる。

いや、シドは将来ジョーの愛妻やルーパーを殺す「レインメーカー」になるので重要な人物なんですが、利害の対立するヤング・ジョーとオールド・ジョーの共闘か対立かを楽しみにしていたこちらとしては、やや肩すかし。

邂逅直後は、ルーパーを閉じないと(殺さないと)自分が殺されるヤング・ジョーが、「俺の人生はまた別だし」と割り切って未来の自分であるオールド・ジョーを殺そうとするのは理解できるのですが、シドがレインメーカーなら彼を殺すことで二人の利害は一致しないだろうか?

ヤング・ジョーが自分の命と天秤にかけるほど、そこまで母子との交歓があったかというと、母親のサラと一晩Hしただけ。あのラストにするならもうちょっと、サラとヤング・ジョーの間に恋だの愛だの育んだらどうですか?ライアンさん。
優しくしてくれた娼婦の面影をサラに求めたにしても無理がありすぎでしょ。


あれだけ人生への執着をみせていて、未来の自分と話し合う素振りさえみせなかった男が、急に自己犠牲に目覚める行為に説得力がないんですよね。
オールド・ジョーを撃って、サラと結ばれシドの父親代わりになるならまだしも。

とはいえ全体的には面白くなくはない。タイムスリップの描写は省略の仕方が独特でテンポがよいし、ルーパーの肉体がリンクしていることを利用した仕掛けも面白いし、過去を書き換える度に改竄されていく記憶などの設定も、無理なく帰結してる。

エピ8でも主人公以外の人間に時間かけ過ぎ、また自己犠牲の展開が鼻につくほど多かった。その片鱗がこの作品でも見えましたね。群像劇や多重構成が好きなんですかね。

あふれる母性で主役を喰っちゃったエミリー・ブラントはチャーミングだし、シド役のPierce Gagnon君がめちゃくちゃダークサイドに堕ちた表情で慄かせてくれるし、エピソード1のアナキンよりもアナキンらしいので彼の演技だけでも一見の価値あり。

また、まったく似てない二人を同一人物にみせるためメイクで、ブルリーの情けない落ち武者ヘアスタイルも見れてお得感(笑)。
ついでにジョセフ・ゴードン・レビットの眉とつけ鼻も若干気持ち悪い。
なんでこの二人をキャスティングしたのか(笑)

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岳‐ガク‐ [スポーツ]

満足度★65点

岳 -ガク- Blu-ray通常版

岳 -ガク- Blu-ray通常版

  • 出版社/メーカー: 東宝
  • 発売日: 2011/11/25
  • メディア: Blu-ray
■邦画はなぜ天を仰ぎ叫ぶのか…無難にまとめたが大げさな演技が残念

何かと批判の対象になりがちな漫画原作の実写化の中で、バランスが良く無難にまとまった作品。
話の軸を新米救助隊員の久美ちゃんに置くことで、山岳救助隊の置かれた状況や救助の難しさや、直面する死に対しての恐怖や葛藤などがストンと伝わる。
漫画ではえげつない死体の描写も、きれいすぎず目を背けたくなるほどでもない。
超人・三歩の活躍の場も、無理にエベレストまで足を延ばさず、穂高だけに絞ったことで地に足着いた話になったとは思う。

だがなぁ…何で邦画って、どれもこれも悲しいとき天を仰いでわーわー叫ぶのかなぁ。
叫ぶのは悲鳴だけでいいのよ、うん。三歩の回顧場面で相棒が落下した時、「あーまたこれはくるよくるよ。上を向いて〈あー〉って叫ぶよ」と思ったもの。個人的には『 世界の中心で、愛をさけぶ スタンダード・エディション [DVD] 』辺りから、定番化したと怪しんでいる。

あといい感じに演技してた子役。ジャングルジムで無理に泣かせなくても。僕、泣けます!って張り切ってみせると余計目に付いちゃうからね…毎回毎回製作委員会を立ち上げる日本の映画システムや、演劇や芝居だけを総合的に学べる大学がないことなどで(音大や芸大はあるのに)、演技指導がとってつけたものになってしまうのだろうか。

話は戻るけど、簡単なスノーハイクとセルフビレイくらいしかできない私でも、最後のダブルアックスの跳躍は「無いな~!」と思わずにはいられなかった。
クレパスの二人を視認もせず飛ぶなんてねぇ。二人が下におらずにまた位置がずれてたらどうするの?クレパスを平行して移動するなんて無理だよ?三歩、無駄死に。
おそらく絵的に、遭難者を背負った久美ちゃんの壮絶さの衝撃を狙ったものだろう。
しかしクレパスの中を確認する三歩の背中を映して跳躍させるなど、他にやりそうもあったのでは?
あんなマフラーの紐のきれっぱしで(しかも細すぎ)わかるもんかね。
この映画は「ミッション・インポッシブル」でも「ダイ・ハード」でもない。

ラストも足切断した人を無理に動かしちゃダメでしょ。なんで最後二人担いで無理に動いてるの。
稜線で二人横たわっててもいいじゃない。急に雑になっちゃった詰めの甘さが際立つ。

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