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SNSー少女たちの10日間 [ドキュメンタリー]

満足度★85点

SNS-少女たちの10日間-(特典なし) [DVD]

SNS-少女たちの10日間-(特典なし) [DVD]

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • 発売日: 2021/10/06
  • メディア: DVD

■人の性的嗜好を矯正することができないのであれば、どう危険を回避するかを学ぶしかない

専門家が言う。「彼らは幼児性愛者ではない」と。
SNSで少女に扮する女優たちに接触してくるのは、一般的には「普通の男性(女性)」たちだ。
支配欲という誰もに少なからず内在する欲求が、何らかのきっかけで暴走する。
実験で明らかになったように、その欲が子供に向かいやすいのは、ただ単に大人より知恵が無く・扱いやすく・脅せば容易く操作できるからだろう。
子供に性的興奮を覚える嗜好が全人類にあるわけではないが、特別に特殊でもないという事実は受け入れがたいものがある。彼らはゲームのように、少年少女に命令を下すたびに達成感を得て、未成熟の段階の開発されていない精神や体を弄ぶことに高揚せずにはいられない。

しかし、しつこい。頻繁に登場する男たちのなんとしつこいこと。囮になった女性3人が断り続けて諦めた輩も大勢いるなか、ふるいにかけられた(?)者たちのこの粘着質なパワーは一体どこから?と嫌悪感をもよおすとともに、その心理を不思議にも思う。
男性を貶めるつもりはないが、やはり傾向としては男性の方が精神的つながりのない人間に対しての性的欲求は女性よりも強いのは明らかだ。

今回チャットの様子を見ていて感じた恐怖は、相手が離れた場所にいるにも関わらず、その場を支配されるかのような心理にさせられることだった。不思議なもので、人間は命令され続けると思考停止してしまうらしい。
SNSはネットなのだから、きっぱりと接続を切ってしまえばいいだけなのに、何かしらの報復が怖くなりそれができなくなってしまうのだ。

実験は先に進み、実際に接触者たちと会うところまで踏み込む。少女を演じる女優たちとカフェで話している接触者たちは、実際に性的行為へと話を持ち込まずに終了することが多かったが、それはただ単に勇気がないか、理性が押しとどめただけであり、彼らの中に性的行為への欲望があるのは表情からも明らかだった。
接触してきたなかにはカップルもいて、3P目的の女性もいたのには驚いた。
少女たちが事なきを得たのはたまたまであり、本当にラッキーなことなのだ。

この映画で行われていることは半ば囮捜査のようでもあり、食いついた人たちを煽るだけ煽って焦らして、わざと犯罪者に仕立てているようにも感じなくもないが、しかし接触者たちは、この機会がなければ別の子どもを標的にするだけだろうし、そのことは社会の知らずうちに行われるだけの話なのだ。
と考えれば、いかに子どもたちが危険な状態にさらされやすいのかを分かりやすく炙り出したこの実験は、とても社会的に有意義なものだと思う。
かなり衝撃的ではあるが、中高生の教育現場で見せてほしいぐらいだ。

おそらく、どんな罰則や刑罰を与えても人間の性的嗜好や性格を矯正することはできない。
だとすれば、SNSの危険性や言葉の暴力や命令に対してどう抗うのか、その術を子どもや親が学んだ方が早いのではないか。
唯一チャットでまともだったのが、大学生の若者だったというのも皮肉で、モザイクが晴れるとともにこちらの気持ちも少し晴れていくようだった。

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スパイの妻 [戦争ドラマ・戦争アクション]

満足度★35点

「スパイの妻<劇場版>」Blu-ray豪華版

「スパイの妻<劇場版>」Blu-ray豪華版

  • 出版社/メーカー: アミューズソフト
  • 発売日: 2021/03/03
  • メディア: Blu-ray
■見事にお粗末!

内容の前に、映画としての手抜きが気になってしょうがない。
セットが安っぽい!邸宅も憲兵詰め所も会社の倉庫も、神戸の洋館?三菱一号館美術館?どこかでみたな…っていう。いや、借りてるんだろうけど、小物を数点置きました、というおざなりの雰囲気と借り物感が半端ない。特にドラマの中心となる肝心要の、邸宅内の生活感が全くない。

そして特に!家や路面電車の窓の「白とび」、光での誤魔化しがひどい!
私にはアニメの背景処理で屋外の書き込みを省く「白とび」にしか見えなかったんだけど、違うの?
背景や風景を作り込むのに金がかかるというのなら、映画なんて撮るんじゃないよ。
元はドラマなのかもしれないけどさぁ。
ほんと、これでベネチア国際で銀獅子賞?海外で受賞する作品は、忖度あったとしても完成度高い作品ばかりだと思ってきたけど、今回の授賞でがっかりした。

これが舞台劇だったらセットにはまだ目をつぶるも…。舞台といえば、やたら仰々しいせりふ回しの蒼井優の演技も上滑り。
戦火の街並みもしょぼいというか印象でしかなく、そのあと海辺で泣くシーンも不必要。
歌舞伎の遠見のようなぼやを前にして「お見事です」とかいわれても。旦那が日本を敗戦に導いたわけでもあるまいし。
夫婦二人の関係性に深みが見えない。夫のだまし討ちが妻を守る為とは思えず、かといって正義のために闘うという信念も感じず、重荷になった女を捨てたようにしかみえない。
大層な大義名分を掲げてはいるがただ単に自由になりたくて、アメリカに密航したようにしか。
最後のテロップは、それでも夫にしがみつこうとする女の哀れな執念か。


台詞も演出も、出演人数も全部手抜きと陳腐さが漂う。旅館の前、尾行者しかおらんやんけ。踊り場で取り調べ、おかしいやんけ。密航用の木箱、あからさまに一つだけ飛び出てるやんけ。
731部隊の所業をばらしたら、アメリカが参戦する?この理屈が一番アホや。
話の展開もかなり読めたし、というかそもそも旦那はスパイじゃないし。
作り手はこれでいいと思ってるのか?邦画はもう時代物撮っちゃだめだ。

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