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2022年度の鑑賞映画・駆け足レビュー① [▼各年鑑賞映画リスト&ベスト5]

一つずつきちんとレビューした映画もありますが、他の映画は時間がなく短文で済ませようと思います。
誰かが映画を選ぶ際の、なにかの参考になれば。


■キャプテン・マーベル(満足度★75点)
●何度も立ち上がるキャロル・ダンバースに胸熱
このヒーローはあまりに力が強大すぎて、荒唐無稽になるだろうなと期待していなかったが、意外とよかった。キャロル・ダンバースが女だからと男社会でこけにされながらも、何度も立ち上がってきた描写がいい。彼女が鬱屈した性格ではなく、ちょっとむこうみずな負けん気の強い性格なのが幸いして、最近ありがちな女性賛美物としてではなく、あくまで個人の物語として楽しめた。
戦争の一面的な捉え方の危険性も描きつつ、あまり謀略を張り巡らさず、すっきりとした対立構図なのがわかりやすい。平和を求めている宇宙の移民スクラル人、敵と決めつけて排除しようとするクリー人。
闘いを継続させている黒幕が、AIのスプリーム・インテリジェンスなのかどうかは気になるところ。それにしてもキャプテン・マーベルのパワーがちとチートなので、サノス戦に最初から絡ませなかったのも頷ける。(のちにドラマ「ワンダビジョン」でのランボーの娘の台詞から、制作陣も同様に思っていることが窺える)ドラマ「エージェント・シールズ」を観てきたファンにとっては、コールソンの登場が嬉しい。彼が直感を信じるタイプ、理屈ではなく人の善良な部分(動機)を見ようとする性格がきちんとここでも発揮されている。実はフラーケンだった猫、グースの登場にもニヤニヤしてしまう。

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  • 出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社
  • 発売日: 2019/07/03
  • メディア: Blu-ray


■バイオハザード ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ(満足度50点)
それほどやりこんでいたわけではないが、10代で仲間とわいわいプレイしていた頃を思い出して、あー、こんな雰囲気だったなぁと懐かしく思った。連れによると、ゲーム一作目とは違う箇所もあるらしいが、原点回帰という感じ。人体実験の成れの果てにおぞましさを感じる。B級感は否めない。

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  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • 発売日: 2022/05/11
  • メディア: Blu-ray


■T2 トレインスポッティング(67点)
相変わらずの4人は相変わらずのままだった、という作品。色々ともがいてはみたものの、仕事も結婚も失敗して、結局地元から逃れられない、と。育ちや環境が悪いと人生うまくいかないよ…というリアリティーがあって、なんとなく気持ちが塞ぐ作品。

T2 トレインスポッティング 4K ULTRA HD & ブルーレイセット [4K ULTRA HD + Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
  • 発売日: 2017/09/06
  • メディア: Blu-ray

■LION~25年目のただいま(70点)
二人の母親の、耐えて待つ姿勢の愛情に感涙。養母スーの悲しみはサルーが隠れて実母を捜していたことによるものではなくて、自分がそれを明かされたら怒るだろうと見くびられていたことに対してだと思う。サルーは罪悪感に一人悩んでいないで、さっさと養母に打ち明ければよかったのだ。移動距離が長いと、まるで外国に来たように言葉が伝わらなくなるインドの広さ、また孤児を取り巻く環境の悪さに驚く。サルーの兄のエピソードが衝撃的で悲しい。せっかくのキャスト、ルーニー・マーラが生かされておらず、ちと惜しい。

LION/ライオン ~25年目のただいま~ [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: ギャガ
  • 発売日: 2018/10/05
  • メディア: Blu-ray

■悪なき殺人(75点)
奇妙な偶然とつながりにより、数奇な人生の結末を辿る5人の男女。各々の人生は平凡というか、ありふれた環境と人生ではある。とはいえ、ことの始まりは死体に性的興奮することを自覚してしまう男のエピソードなので、その点だけ非凡とはいえるかもしれない。
一応、騙された田舎者の男が詐欺グループと直接対峙し、奇妙に絡まった糸を理解するのですっきりはするが、もしかしたらこの糸をほぐさないままの方が映画的には面白かったのかも。
最後、始まりの場所に降り立つ女は、死んだ女の穴埋め。運命の輪は閉じて終わる。うまい。しかし現実に起きた未解決事件は、案外こういった奇妙な偶然で起きているのかもしれないと思うと、怖い。

悪なき殺人 (新潮文庫 ニ 4-1)

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  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2023/10/30
  • メディア: 文庫
悪なき殺人

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  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2023/12/01
  • メディア: Prime Video

■ペンタゴン・ペーパーズ(80点)
信念と葛藤と決断、骨太な人間ドラマ。最後ウォーターゲート事件につながり、鳥肌がたった。

ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書 [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
  • 発売日: 2019/04/10
  • メディア: Blu-ray

■21ブリッジ(60点)
結末はよくある話だな…と感じる警察内幕もの。21もの橋を封鎖するので大アクションを期待したが、展開は地味。
21ブリッジ(字幕版)

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  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2021/08/14
  • メディア: Prime Video

■透明人間(65点)
ストーカー男の恐怖。透明になる方法が過去作のような「魔法のような薬」ではなく、実際にどこかの軍事産業で開発していそうな技術だったので、恐怖を感じた。じわじわと手足をもぐように、周囲からの信頼を失わせて主人公を孤立させていくやり方がえげつない。透明人間のリメイク作では一番スタイリッシュ。

透明人間 インビジブル(字幕版)

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  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2022/07/06
  • メディア: Prime Video

■ウォーデン消えた死刑囚(55点)
消えた死刑囚の姿が終始見えないことで、その存在自体が観客にとっても幻のよう。
最初は面白かったが、署長と女性福祉士とのやりとりが何度もしつこく、少し飽きた。脱出劇と冤罪の謎解きが同時並行するのかと思いきや、冤罪が無実だとはっきり晴らされるわけではなく、国家権力がものをいわす時代の問題点をあぶりだすわけでもない。
そのため、脱出への熱がどうにも入りきらず終わってしまった。冤罪男性の逃亡劇ではなく、中年署長の悲哀を描きたかったのかもしれないが、この時代設定である必要性が感じなかった。

ウォーデン 消えた死刑囚(字幕版)

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  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2021/08/20
  • メディア: Prime Video
■ホロコーストの罪人(70点)
ノルウェーでもホロコーストがあったことの知られざる歴史。実在したユダヤ人ボクサーの抱える葛藤を描く。順風満帆だった人生に影が差し、ユダヤ人であることを捨てようとした主人公の気持ちが痛いほど伝わる。収容所でのいたぶられるようなボクシングシーンが印象的。
最後、妻の元に戻ったチャールズだが、二人は別れてしまったというテロップに、彼の背負う「その後」の人生の重さを考えた。

ホロコーストの罪人(字幕版)

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  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2021/11/24
  • メディア: Prime Video
■パーム・スプリングス(75点)
タイムループに巻き込まれた男女の恋愛模様を描く。寝てしまうとまた同じ一日を繰り返してしまうので、何とか寝ずに過ごそうとしたり、開き直って不法侵入したり色々と羽目を外す二人が面白い。しかし二人には互いに内緒にしていた秘密があって・・・。同じ時間軸でも、どちらの視点で描くかで物語が異なり、観ていて飽きない。
【セッション】のJ・K・シモンズが、タイムループに巻き込まれた男を好演。主人公を恨み殺そうと執拗に追い回すも、最後は家族との一日を永遠に過ごせることに喜びを見出す。
パーム・スプリングス(字幕版)

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  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2021/10/06
  • メディア: Prime Video
 ■ダウントン・アビー(65点)
ドラマを見ていなくても人間関係がわかった。王室の召使いと張り合い、奮闘する召使いたちの「優雅などたばた劇」が面白い。さりげなくゲイである問題や、女性当主であることの葛藤など、現代風の味付けも忘れない。

ダウントン・アビー/新たなる時代へ [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
  • 発売日: 2023/09/06
  • メディア: Blu-ray
■独ソ・リトアニア前線(60点)
同じ民族が二つの国に別れて戦うことになる戦争の悲劇を描く。あまり大国ではない国の、日本人が知らない歴史の一端をかいま見れた。

■ナチスの善人(75点)
ドキュメンタリー。ナチスの将校でありながら、多くのユダヤ人を救ったカール・ブラッジ少佐の足跡を追う。生存者の証言を元に、彼がどのように当局を欺いたのかをひもといていく。ドイツ軍のための工場でユダヤ人を雇うことで、上層部に必要な労働力だと説き伏せたり、屋根裏にかくまったり、個人の力でできうる限りのことをしたその様子が浮き彫りになり旨を穿つ。
ユダヤ人が実際に隠れ住んだ屋根裏部屋や、納戸の奥などが映し出され、いまだ心の傷が癒えない生存者達の恐怖が、とても生々しく伝わった。
https://tv.apple.com/jp/movie/%E3%83%8A%E3%83%81%E3%82%B9%E3%81%AE%E5%96%84%E4%BA%BA/umc.cmc.58d33piuz5233ql5ri2s7s7b7

ナチスの善人(字幕版)

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  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2021/09/06
  • メディア: Prime Video
■クワイエット・プレイス 破られた沈黙(78点)
生き延びた二人の兄弟の成長を、より姿が露わになったモンスターとの直接対決も交えながら、スリリングたっぷりに描く。特に対照的な性格の姉弟が別行動中に、自分を鼓舞して各々モンスターと対決する場面は画(え)的に興奮する。モンスターに見つかっていない奇跡の島の住民の一人にジャイモン・フンスー。大きな脅威にも逃げ隠れてばかりでは一歩も進めない・・・という強い意志とメッセージを感じた。しかし、モンスターより恐ろしいのは人間か?周波数の他に、泳げないという弱点も露呈。

クワイエット・プレイス 破られた沈黙 (字幕版)

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  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2021/07/13
  • メディア: Prime Video
■42~世界を変えた男~(85点)
白人にも差別の体験を共有させる…。「理不尽な差別」を自分が受けているような錯覚はやがて連帯となり、敵の敵は味方となる。それは、本来真っ当ではないやり方だろうけども、今回はハリソン・フォード演じるオーナーの思惑通りとなった。やり返したら全てが終わってしまう、ということを肝に銘じて、ひたすら暴言と暴力に耐えてきたジャッキーの姿に感服する。黒人であることよりも前に、彼の中の野球への情熱が、チームメイトの心を動かしたのだろう。今、メジャーリーグではあたり前に存在する「ジャッキー・ロビンソン・デー」。タイトルは大げさではなく、確実にジャッキー・ロビンソンはアメリカ史を変えた。

42~世界を変えた男~ (字幕版)

42~世界を変えた男~ (字幕版)

  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2016/11/15
  • メディア: Prime Video
■奇跡の絆(70点)
ホームレスの支援事業に携わる女性、デビーがある男を気にかけ、自立を助けようとする。夫のロンもしぶしぶではあったが手助けをすることになるが、そのロンの心の変化がみもの。優れた観察眼や洞察力を持つホームレス・デンバーにジャイモン・フンスー。本人の努力ではどうしようもない差別や過去の傷を負い、静かな怒りをたたえている。
デビーがなぜここまでデンバーに肩入れするのか。それは夢に現れた「お告げ」が関係した。人助けにいちいちそれらしい理由がなきゃいけないのだろうかと、この点が少しひっかかるところ。私はデビーが単に自分の衝動的な善意からだと言ったとしても、全く不思議には思わないが、まあしかし実話だからしょうがない。
しかし無神論者にはしっくりこない動機を抜きにしても、不倫してしまった男が妻への愛をよみがえらせると共に、他人を助けることへの喜びを見出すさまは静かに感動を呼ぶ。他人を助けることは自分自身の心を癒す事につながるということが、如実に伝わる作品。

奇跡の絆 (字幕版)

奇跡の絆 (字幕版)

  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2019/12/11
  • メディア: Prime Video

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