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ジャンポール・ゴルチエのファッション狂騒劇 [ドキュメンタリー]

満足度★75点

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■舞台を観た者にとってはあっという間の96分

ミュージカルを観に行った友人と映画も一緒に。個人的には熊の“中の人”がツボ。ダンス習っているので、振り付けシーンがもっと見たいと欲が出ました。

フランス人の絶え間なく溢れ出す言葉と会話の量に圧倒されつつ、ゲイであることで子供の頃に受けた差別や孤独感が彼の今を形作ったのだとわかる構成になっていました。
居丈高で近寄りがたいイメージのファッションデザイナーとは違い、彼は凄く優しい。
演出が自分のイメージと違うと告げた振り付け師に後でフォローしたり、本番直前に怪我したダンサーにも自分のことのように心痛める。本番直前間際に進行が青くれていても、決して怒鳴ったり物に当たり散らしたりしない。
そのアバンギャルドなデザインからは想像できない人物像。

アジア人の視点でみると、欧米人には珍しく、人に嫌われたくない、好かれたいといういじらしさが、隠されることなくそのまま伝わってきました。
でも!自分がデザインした服には一切の妥協をしない。
僕はいつか突然流行遅れになる、という言葉が、世間のトレンドのめまぐるしさを物語ります。
夢を売る商売は、とても刺激的で美しい。

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マルタ騎士団 知られざる領土なき独立国 [■BOOK・COMIC]

満足度★70点


マルタ騎士団 知られざる領土なき独立国

マルタ騎士団 知られざる領土なき独立国

  • 作者: 武田秀太郎
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2023/08/31
  • メディア: Kindle版

十字軍遠征のときに生まれた、宗教によらず聖地を目指す巡礼者や病人やけが人の保護を主とする組織。今でも現存する領土無き国家。3.11のときも日本を支援してくれたという。既存の政府や国家に影響されないスピード感で支援活動できるところが、魅力と感じた。
日本人騎士も二年前に誕生、最近テレビにも出演し話題となりました。これはその武田さんが書いた本。

現存するマルタ国のマルタ島をナポレオンに追い出されるまでは一時領土としていたが、今は其の国とは関係ない(関係なくもないけど)。十字軍という歴史の側面を面白く学べるが、手放しで称賛する組織とも言い難いことがわかった。

マルタ騎士団になるには、在来騎士による完全スカウトのみ。条件はキリスト教徒で人道支援に従事しているかうんぬん。代々貴族のみの出自構成だったが、貴族の条件は撤廃。
結局政治的組織であり、現在も超金持ちの白人貴族がほぼ占めていることを考えると、きれいごとではない選民思想も垣間見える。しかし稀に宗教の教えはとんでもない善人を生み出すこともある。混ざり気のない信念を与えるのも、宗教の力の一つ。
「持てる者たち」の喜捨精神がどこまで現代で影響をもつのか、期待したい。



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